英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

・英文讀解のヒント (26) 《助動詞の過去形③》

2015-05-27 | 英文讀解のヒント

・英文讀解のヒント (26) 《助動詞の過去形③》

1  次の英文を音讀または默讀しながら意味をとらへ、下線部については意味を日本語で言つて、または書いてみませう。(※讀み方がわからない語はあとで辭書で調べておきませう)

   So what should companies do?  They could just remove the temptation entirely and shut down access to most Web sites.   After all, if the people in the Copenhagen experiment hadn’t known there was a video they could have been watching, they would presumably have counted the passes just fine.  There are companies that try to do this, but it creates a tyrannical work environment, and, besides, the spread of smartphones renders such a policy increasingly unenforceable.  A more interesting solution, proposed by the Copenhagen experimenters, would be to create “Internet breaks,” allowing workers to periodically spend a few minutes online.  This may sound like a solution straight out of *Oscar Wilde, who said, “The only way to get rid of temptation is to yield to it.”  But it’s actually a logical evolution of one of the great inventions of the twentieth century: the coffee break.   In the nineteenth century, letting wage-earners stand around drinking coffee would have seemed outrageous.  But, in the early nineteen-hundreds, a company introduced the idea of short breaks in the workday, and by mid-century it had become an accepted office custom.  The basic insight – that giving people some relief from difficult tasks, along with the chance to let their minds wander, will make them more productive – remains true.  Sometimes, it turns out, you have to take your eye off the target in order to hit it.

(※筆者注)the Copenhagen experiment: 單純作業における作業の精度を氣晴しとの關聯で計測・實證する實驗。インターネットによる氣晴しの是非を論ずる過程で引用されてゐる。

(16 九州大學 2012 4パラ; 2012年4月30日掲載)

 

2  下線部の解説

2.1  下線部①は假定法過去完了を用ゐた文です。≪if had過去分詞, would*have過去分詞.≫のかたちで、過去形の事實とは異なつた假定を條件として、その結果を推量したり後悔や殘念に思ふ氣持や非難などを表はす(「もし~した(であつた)ならば、…だつたのに」)文體です。

* would のほか could / might / should が使はれることがあります。

・could have 過去分詞 = would have been able to … (できたのだが)

・might have 過去分詞 = would perhaps have …/ would possibly have …(かもしれなかつたのだが)

・should: 主にイギリス英語で、主語が I ,we のとき、would と同意で。

※ should have 過去分詞のかたちは、過去の行爲や状態に對する非難や後悔を表はして、「~すべきだつたのに」「~であつたらよかつたのに」といふ意味で使はれることがあります。また過去のことに對する推定で、「~したはずだ」といふ意味を表はすこともあります。いづれかは文脈で判斷します。

■諳誦例文

S.4  If you had worked harder, you would have passed your exam.

もつとよく勉強してゐたら、あなたは試驗に受かつただらうに。

 

2.2  下線部②も假定法過去完了の文ですが、條件節がなく歸結節のみのかたちです。條件が示されない場合と、主部・副詞(句)などで示される場合があります。②では副詞句 in the nineteenth century に條件が仄めかされてゐます。

※最近見かけた英作文の問題で「まだぎつくり腰になる年でもないと思つてゐた」の英譯例を I wouldn’t have thought I was old enough to be throwing my back out. と紹介してゐましたが、これも假定法過去完了の歸結節の類例になります。I didn’t think ~とすれば單に事實を述べたことになりますが、假定法を使ふと感慨や氣持をこめた言ひ方になります。

 

3  意味把握チェック

  で、會社はどうすべきなのだらう?會社はそんな誘惑をすつかり取り除いて、大方のウエブ・サイトへの接續を禁ずることができるだらう。① 結局のところ、コペンハーゲン大學の實驗協力者たちが、觀ることができたであらうビデオ映像があつたことを知らなかつたなら、おそらくパスの數を精確に數へたことであらう。かうしたことを行なはうとする會社があるが、專制的な勞働環境がつくりだされるし、その上、スマートフォンのひろまりによりそのやうな方針は益々強制しがたくなつてゐる。さらに興味深い解決策は、コペンハーゲン大學の實驗者により提案されたものであるが、『インターネット休憩』を創設して、從業員に定期的にネット接續で數分を費やすことを許す、といふものであらう。これは Oscar Wilde から直に引き出された解決策のやうに聞こえるかもしれない。彼は「誘惑を退ける唯一の方法は誘惑に屈することだ」と言つたのであつた。しかしそれは實際のところ、20世紀の偉大な發明のひとつである「コーヒー休憩」が理にかなつた發展を遂げたものである。② 19世紀であつたなら、賃金勞働者がそこらに立つてコーヒーを飮むのを許すなんてけしからぬことと思はれたことであらう。しかし、1900年代初めに、ある會社が就業日に短い休憩の着想をとり入れ、20世紀半ばまでには一般に認められた職場の慣習となつてゐた。難しい仕事からちよつと解放することは、精神をくつろがせる機會を與へることと併せて、生産性を一層上げる、といふ基本的洞察は依然正しい。的を射るためには、時には的から目を離すこともことも必要だ、といふことなのである。

 

4  意味把握チェックの下線部を參考にして、元の英文に戻してみませう。

 

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