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6億円の貢ぎ先は下町のキャバクラ嬢 使い込み容疑で逮捕された男の悲哀(産経新聞より)

2012年05月08日 | Weblog
2012/04/30の産経新聞より
『キャバ嬢に“貢いだ”額は6億円-。勤務先の預金口座からカネを引き出し使い込んだとして今月11日、電子計算機使用詐欺容疑で工業用ゴム製造大手「シバタ」(東京都)の元経理係長の男(33)が警視庁に逮捕された。同庁によると、使い込みは総額計約6億4000万円に上るとみられるが、そのうち約5億9400万円が下町のキャバクラ嬢のために使われていた。1人の会社員を、常軌を逸した不正に走らせたキャバ嬢の“甘い”ワナとは…。(原川真太郎)
 ■「私、がんなの」そんな言葉を信じて…7年間で計350回
 「私、実は胃がんになって、入院や通院でお金がかかるの…」
 逮捕されたのは栗田守紀容疑者=埼玉県朝霞市。訴訟記録によると、栗田容疑者は平成15年1月ごろ、東京都葛飾区のJR亀有駅前にあるキャバクラで、なじみのキャバ嬢からこんな相談をもちかけられた。当時20代前半だったキャバ嬢に好意を抱いていた栗田容疑者は、求めに応じてすぐに30万円を女性の口座に振り込んだ。
 しかし、キャバ嬢の“おねだり”は、この1回では済まなかった。栗田容疑者に対し、何度もカネを無心するようになった。栗田容疑者は頼まれるたびに「すぐに返さなくても、少しずつ返してくれればいいから」と、口座に気前よく数十万~数百万単位で振り込み続けた。
 振り込んだ回数は7年で計350回以上。そのカネの大半は、実は栗田容疑者のものではなかった。栗田容疑者は、人目を盗んで勤務先のパソコンを操作し、何度となく会社のカネを引き出して自分の口座に移し替えていたのだ。キャバクラへの支払いも含めると、総額約6億円にも上った。
 ■ドライブ、店外デート…有頂天になった男
 捜査関係者によると、栗田容疑者は平成9年にシバタに入社。12年に経理部に異動になった。出入金などの業務を任されるようになったが、ちょうどそのころ、亀有駅前のキャバクラに客として訪れたのをきっかけに、このキャバ嬢と出会った。
 キャバ嬢をすっかり気に入った栗田容疑者は店に通いつめ、やがて月に数回、ドライブなど店外デートをする仲に。栗田容疑者はすっかり“有頂天”になってしまったという。
 カネの無心を繰り返すキャバ嬢に「何でそんなにお金がかかるの?」と聞いたこともあったが、「内視鏡検査や個室に入院するため」「無菌室に入るので高額になる」などと言われると、信じてしまった。
 もちろん、それはすべてウソ。新宿区の高級タワーマンションを借りて住んでいたキャバ嬢は、受け取ったカネを家賃に回し、旅行や飲食などの遊興費にも使っていたのだ。
 ■「面会謝絶」のキャバ嬢に振り込みを続け…
 2人は店外デートをしていたといっても、交際していたわけではない。16年ごろになると、キャバ嬢は「病院に入院し、面会謝絶になった」などと言って、店にもあまり出勤しなくなり、栗田容疑者とほとんど顔を合わせなくなった。
 連絡手段は主に携帯電話のメール。カネの振り込みを求めるのもメール。当初「胃がん」と言っていたはずの病名も、「心臓が弱い」「脊椎(せきつい)損傷のため手術が必要」「白血病」と、ころころ話が変わるようになった。
 さすがに不審に思った栗田容疑者。「病院からの請求書を見せてほしい」とメールした。しかし、キャバ嬢から「疑われたら生きている意味がない」「自殺する」などと返信がくると、結局、あわてて振り込みをしてしまったという。
 ■税務調査きっかけに不正発覚 それでも覚めない夢
 貢ぎ始めて約7年が過ぎた22年8月、会社の税務調査をきっかけに、使い込みが発覚した。キャバ嬢にはここ6年間で、ほとんど会っていなかったが、栗田容疑者は、まだ目が覚めなかった。発覚直後、キャバ嬢に「会社の金を横領していた」とメールで打ち明けた。自分が逮捕されることになると予想すると、どうしても会いたくなったようだ。「自首する前に会いたい」とも頼んだ。
 しかし、返事は「最後に(振り込みを)お願い」。キャバ嬢は栗田容疑者とは決して会おうとしなかった。
 会社側の調査では、不正に引き出された総額約6億4000万円のうち、約4000万円は栗田容疑者の個人的な株投資などに使われた形跡があったが、残りのほとんどはキャバ嬢への振り込みとキャバクラ代。会社側は、引き出された資金を取り戻すため、栗田容疑者と上司に、キャバ嬢が入院しているはずの茨城県つくば市内の病院を訪問させた。
 当然、キャバ嬢の入通院記録はない。ようやく目が覚めた栗田容疑者は、キャバ嬢をメールで問いただすと、「本当にごめんなさい」と、嘘をついていたことを認めたという。
 ■6億円弁済のめどは立たず 「いま考えると…」
 実は、このキャバ嬢はすでにキャバクラを辞めていた。栗田容疑者は23年2月、貸したカネの返還を求める民事訴訟を起こしたが、「ほとんど使われていて残っていなかった」(シバタ社の担当弁護士)ことが確認された。キャバ嬢を辞めた女性は謝罪の意向は示したものの、資金回収のめどは立たず、結局、訴訟は取り下げられた。
 警視庁は今月、シバタ社からの刑事告訴を受けて、栗田容疑者を逮捕した。逮捕容疑は、21年4月~22年7月、同社の口座から55回にわたり計約2億3000万円を自分の口座に振り込み、だまし取ったとしている。残りの使い込み分についても、警視庁は公訴時効(7年)にかからない計約2億9000万円については立件する方針だ。
 電子計算機使用詐欺罪は最高で懲役10年。だましとった額は、ほとんど返済のめどはなく、もし起訴され、有罪になった場合は、かなり重いペナルティーが予想される。会社が受けた損害も計り知れない。
 警視庁によると、栗田容疑者は調べに対し、「いま考えると不自然だが、当時は病気だと信じていた」と供述しているという。』

引用が長くなりましたが、本当にあるんですね。こういった話が。
会社側が不正を税務調査までわからなかったことが不思議です。