最近の気になるニュース(人事労務編)

人事労務の情報を新聞報道等からチョイスしてお送りしています。さらに最近読んだ本やお気に入りの音楽を紹介しています。

派遣の雇い止め増加へ=来月末で3年期限到来―法改正後も正社員転換に壁

2018年08月17日 | Weblog
8/17(金)の時事通信社ニュースによると、
『改正労働者派遣法の施行から丸3年となる9月30日を機に、派遣労働者が契約更新を断られる「雇い止め」が増えそうだ。3年の期限を越えて同じ人を同一部署で働かせることができなくなるためだ。好景気とはいえ、雇用の調整弁として使いたい企業のニーズはまだまだ根強く、同法が目指した正社員への転換には壁がある。

 同法は「常用雇用の代替になることを防ぎ、労働者のキャリア形成を図る」(厚生労働省)ため、2015年9月末に施行された。
 派遣から3年経過した労働者に引き続き同じ仕事をさせるには、派遣先の企業が正社員などとして直接雇用するか、派遣会社が労働者と期間の定めのない無期雇用契約を結ぶことが必要になる。簡単には解雇できなくなるため、二の足を踏む企業や派遣会社は少なくない。

 企業の受け入れ期間の制限は撤廃され、労働組合の意見聴取の手続きを踏めば、3年単位で人を入れ替えて派遣労働者を使い続けることができる。労働組合「派遣ユニオン」(東京)の関根秀一郎書記長は「いい(法)改正ではなかった」と指摘する。

 派遣ユニオンには今月に入り、1日数件の雇い止めの相談が寄せられている。金融機関に10年間派遣されていた40代の女性は、現在の派遣会社に移って3年になる来年2月以降、契約を更新しないと通告された。「今後も同じ職場で働きたい」と希望しており、派遣ユニオンを通じて派遣会社と交渉に入る予定だ。』

この派遣法改正は、働いている派遣労働者のためになっているのだろうか?
中小の派遣会社が派遣社員と無期雇用契約を結ぶのは経営的に難しいのが実情。
結果として「派遣切り」になっているのが少なくないのではないか。

大東建託、長時間労働に是正勧告 「過少申告」証言も (朝日新聞)

2018年07月03日 | Weblog
大東建託、長時間労働に是正勧告 「過少申告」証言も
7月2日の朝日新聞によると
『賃貸住宅建設大手の大東建託(東京)の神奈川県内の支店が、労使協定で定める上限を超えて社員に長時間労働をさせたとして、6月上旬に労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが分かった。地主らにアパート建設を勧める積極的な営業で業績を伸ばしてきた同社だが、過酷な労働実態や、残業時間の「過少申告」があったと複数の社員や元社員が証言している。
 個人加盟の労働組合「ブラック企業ユニオン」によると、同社の神奈川県内の支店では、残業時間の上限を月70時間(繁忙期は月80時間)とする労使協定(36協定)を結んでいた。しかし、この支店の営業職だった20代の元男性社員の2017年10月の残業時間が上限を超えていた。同県の川崎北労働基準監督署は、同月の残業時間が90時間を超えていたと指摘し、是正勧告した。残業した際の割増賃金の支払いが不十分だとの指摘もあった。』

通勤手当など正社員と待遇差「不合理」 最高裁が初判断

2018年06月01日 | Weblog

通勤手当など正社員と待遇差「不合理」 最高裁が初判断

6/1(金)の朝日新聞デジタルによると、


『浜松市の物流会社「ハマキョウレックス」の契約社員が、同じ仕事をしている正社員と待遇に差があるのは、労働契約法が禁じる「不合理な格差」にあたると訴えた訴訟の判決が1日、最高裁第二小法廷であった。山本庸幸裁判長は、正社員に支給されている無事故手当や通勤手当などを契約社員に支給しないのは不合理だと判断し、会社側が支払うよう命じた。最高裁がこの争点について判断を示したのは初めて。

 原告は同社で契約社員として働くトラック運転手。正社員に支給されている無事故手当▽作業手当▽給食手当▽住宅手当▽皆勤手当▽通勤手当――などの支払いを求めて訴訟を起こした。一審・大津地裁彦根支部は、通勤手当について「交通費の実費の補充で、違いがあるのは不合理だ」と認定。二審・大阪高裁はさらに、無事故手当と作業手当、給食手当を支払わないのは不合理だと判断し、双方が上告していた。

 この日の第二小法廷判決は二審が「不合理」と認めた四つの手当に加え、皆勤手当についても正社員に支給しながら契約社員に支給しないのは「不合理」と判断。原告が皆勤手当の支給要件に該当するかを審理させるため、大阪高裁に差し戻した。一方、住宅手当については、正社員と契約社員の間に転勤の有無など差があることをふまえ、契約社員に支給しないのは「不合理といえない」と原告の訴えを退けた。』


 

無期雇用へ転換直前の解雇は不当」 日通元従業員が提訴

2018年04月03日 | Weblog
4/2(月) の朝日新聞デジタルによると、

『物流大手「日本通運」で有期の雇用契約で働いていた元女性従業員(40)が、無期の雇用契約への転換を希望できる時期の直前に雇用を打ち切られたのは不当だとして、同社に従業員としての地位確認などを求める訴訟を2日、東京地裁に起こした。女性は「無期契約への転換逃れだ」と主張している。

 改正労働契約法では、2013年4月以降に結ばれた有期の雇用契約を対象に、契約期間が通算5年を超えると無期契約を希望できる「5年ルール」が導入されており、今月から一部労働者の契約切り替えが始まっている。法改正は、企業による有期契約の乱用を抑制し、労働者の雇用安定が目的とされていた。

 訴状によると、女性は12年6月に有期契約を締結。5年ルールの適用対象となる13年7月以降、ほぼ1年に1回、計6度にわたって契約を更新していた。次の更新で「通算5年」を超える可能性があったが、3月末で雇用を打ち切られたという。女性が交わした15年6月以降の契約書には、5年ルールが当てはまる場合は、契約を更新しないことなどが記載されていたという。

 提訴後に記者会見した女性によると、無期の契約を認められた同僚もいるという。女性の代理人は「同じような立場の人が全国にたくさんいると思う」と述べた。

 日本通運広報部は「訴状が届いておらず、具体的な内容を認識していない。現時点でコメントできることはない」としている。』

このような話は他でも聞きます。
法律の主旨としては有期雇用者の雇用安定なのですが、一部の実態としては「5年に達する前に雇止めして無期雇用しない」という動きがあるようです。



500万人分の個人情報が中国業者に 年金情報入力を再委託(NHK)

2018年03月23日 | Weblog


500万人分の個人情報が中国業者に 年金情報入力を再委託

3月19日のNHKニュースによると、
『日本年金機構からデータ入力の業務を委託された東京の会社が、契約に違反しておよそ500万人分の個人情報を中国の業者に渡し、入力業務を任せていたことが厚生労働省などへの取材でわかりました。

日本年金機構は、去年8月、東京・豊島区にある情報処理会社におよそ500万人分のマイナンバーや配偶者の年間所得額などの個人情報の入力業務を委託していました。

ところが、厚生労働省などによりますと、この会社は、中国の業者にデータの一部を渡し、入力業務を任せていたということです。

これらの個人情報は、公的年金の受給者が所得税の控除を受けるために日本年金機構に提出したもので、年金機構とこの情報処理会社が交わした契約では、個人情報を保護するため、別の業者への再委託を禁止していました。

厚生労働省によりますと、中国の業者から個人情報が外部に流出した事実は今のところ確認されていないということです。

この情報処理会社については、データの入力が進まず、少なくとも6万7000人の受給者が所得税控除が受けられず、本来よりも少ない年金しか受け取れない事態となっていて、日本年金機構が、中国の業者への再委託との関連など詳しいいきさつを調べています。

情報処理会社は、NHKの取材に対し「コメントできない」としています。
一方、日本年金機構は「現在調査中でコメントを差し控えたい」としています。』

このニュースは大きく報道されましたが、加計問題の影に隠れてさほど騒がれず。
あまりにずさんな体制は唖然としてしまいます。
氷山の一角という気がします。

留学生大けが 会社と工場長を書類送検(TBC東北放送)

2017年12月15日 | Weblog
12/15(金)の TBC東北放送によると、

『2016年6月、宮城県名取市内の食品メーカーの工場で、アルバイトのネパール人留学生が右腕切断の大けがをする事故があり、仙台労働基準監督署は、14日、この食品メーカーと当時の工場長を労働安全衛生法違反の疑いで仙台地方検察庁に書類送検しました。
 書類送検されたのは、コンビニの弁当などを製造する食品メーカーで千葉市に本社のあるフジフーズと、名取市本郷にある仙台工場の40歳の当時の工場長です。
 仙台労働基準監督署によりますと、仙台工場では2016年6月、当時19歳のアルバイトのネパール人の女子留学生が、肉の加工用の機械を洗っていた際に巻き込まれ右腕を切断する大けがをしました。
 女子留学生はコンセントを抜いてから機械を洗わなければならないことを知らなかったということで、フジフーズと当時の工場長は、採用時に義務付けられている安全教育などを行わなかった疑いが持たれています。
 書類送検についてフジフーズは、「厳粛に受け止めている。母国語での安全教育などを行い再発防止に全力で取り組んでいく」とコメントしています。』

会社だけでなく、当時の工場長も書類送検されています。
外国人の方を就業する会社は、注意事項を母国語で記載するか、
外国の人でもわかるように記号や絵で表記する必要があります。

東証1部上場225社の過半数にあたる125社が今年7月時点で、月80時間以上まで社員を残業させられる労使協定締結

2017年12月04日 | Weblog
12月4日朝日新聞朝刊によると、
『日経平均株価を構成する東証1部上場225社の過半数にあたる125社が今年7月時点で、「過労死ライン」とされる月80時間以上まで社員を残業させられる労使協定を結んでいたことが朝日新聞の調べでわかった。うち少なくとも41社が月100時間以上の協定を結んでいた。政府は、繁忙月でも月100時間未満に残業を抑える罰則付き上限規制を2019年度にも導入する方針。日本を代表する企業の多くが協定の見直しを迫られそうだ。

 法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて社員を働かせるには、労働基準法36条に基づいて、残業時間の上限を定める協定(36〈サブロク〉協定)を労使で結ぶ必要がある。協定で定める上限を上回らなければ、どれだけ残業させても違法にならない。上限は、実際に社員に働かせた残業時間とは異なる。

 主要225社の労使が昨年10月時点で結んだ36協定について各地の労働局に情報公開請求し、各社の本社(主要子会社を含む)が結んだ最も長い協定時間を調べた。入手した資料を元に今年7月時点の協定時間を各社の本社(同)に尋ね、179社から回答を得た。

 情報公開請求と取材によると、月間の協定時間が80時間以上だったのは昨年10月時点で157社。全体の7割を占めた。7月時点でも回答があった179社のうち125社にのぼった。

 月間の協定時間が100時間以上だったのは、昨年10月時点で全体の3割にあたる68社。7月時点でも、回答があった179社のうち41社にのぼった。

 昨年10月時点で最長の月間の協定時間はIHIと関西電力の200時間で、日本たばこ産業(JT)の165時間が続いた。IHIは7月時点で150時間に引き下げたが、この時点でも大成建設、大林組などと並んで最も長かった。今年3月に大規模な残業代未払いが発覚した関電は、7月時点で80時間に引き下げた。』

<電通>未払い残業代23億円支給へ(毎日新聞)

2017年11月30日 | Weblog
11/28(火) の毎日新聞によると、
『広告大手・電通(東京都港区)は、未払いとなっている事実上の残業代約23億円を社員に支給することを決めた。労働基準監督署から指摘を受けて調査した結果、業務との関連性が強いにもかかわらず労働時間と認めていないケースが確認されたという。
 同社によると、2015年4月~今年3月の2年間の勤務時間を、社員に自己申告してもらう形で調査した。会社に残って過去のCM映像を見たり資料を読み込んだりした時間など、これまでは業務と認めていなかった作業について労働時間と認めた。
 同社は17年1~9月期連結決算に「勤務時間に関する一時金」として23億6700万円を計上し、来月中に支払う。支払いの対象人数や1人当たりの支払額は明らかにしていない。
 電通を巡っては、15年12月に新入社員の高橋まつりさん(当時24歳)が過労自殺し、厚生労働省が強制捜査に着手。高橋さんら4人に違法残業をさせたとして、法人としての同社が起訴され、今年10月に罰金50万円の判決を受けた。』



東京ディズニーランドで労災認定 着ぐるみで腕に激痛(朝日新聞)

2017年11月22日 | Weblog
11/22(水)朝刊 の朝日新聞によると、

『東京ディズニーランド(TDL、千葉県浦安市)でキャラクターの着ぐるみを着てショーやパレードに出演していた契約社員の女性(28)が、腕に激痛が走るなどの疾患を発症したのは過重労働が原因だったとして、船橋労働基準監督署(同船橋市)が労災を認定していたことが分かった。

 認定は8月10日付。遊園地のショーなどの出演者が出演中の転倒などによる負傷で労災認定されるケースは少なくないが、事故によるけがでない疾患は過重業務との医学的な因果関係の判断が難しく、労災が認められる例は珍しいという。

 女性は2015年2月から、様々なディズニーキャラクターに扮してショーやパレードに出演していた。

 女性によると、16年11月ごろから左腕が重く感じ、手の震えが止まらなくなったが、休みを取りにくく出演を続けたという。17年1月に入って症状は悪化。左腕をあげると激痛が走り、左手を握っても感覚がなくなったという。病院で診察を受け、神経や血流の障害で痛みが出る「胸郭出口症候群」と診断された。治療のため休職し、しばらくは自由に腕を動かせなかったという。

 雇用契約は1年ごとの更新で、16年11~12月のパレードの出演回数は計50回にのぼった。16年末に出演したクリスマスパレードの衣装は首の動きが制限され、重さが10キロ近くあった。この衣装を着て、1回45分のパレードの間、両手を顔より上にあげているよう指示されていたという。

 2年弱の出演期間中に20~30キロの衣装を着ることもあったといい、首から肩、腕にかけて負荷がかかる業務に継続的に従事したことが発症の原因と認められた。症状は改善しつつあるが、完治はしていない。女性は業務量を減らしての復職を求めている。』



電通違法残業で即日結審 高橋まつりさん母「働く人の命、絶対守って」(東京新聞)

2017年10月15日 | Weblog

9月23日東京新聞の朝刊より
『広告大手電通(東京)の違法残業事件で、労働基準法違反罪に問われた法人としての電通に対する二十二日の東京簡裁での初公判。山本敏博社長は「深く反省している」と謝罪した。検察は罰金五十万円を求刑し、即日結審した。判決は十月六日。過労自殺が労災に認定された新入社員高橋まつりさん=当時(24)=の母幸美さん(54)は公判後、厚生労働省で記者会見し、電通が再発防止策を着実に実行するようくぎを刺した。 (岡本太)

 公判で検察は、一四年度に労使協定の上限を超える長時間労働をした社員が月千四百人前後いたことなどから、長時間労働がまん延していたと説明。度重なる是正勧告に対し、長時間労働を改善するのではなく、長く働いても違法とならないよう協定の上限を引き上げる「小手先だけの対応に終始した」と指摘した。その上で「労働者が被った精神的、肉体的疲弊は想像に難くない」と言及した。』

罰金50万円?
同種の労務事件で思うのは、罰金が安いということ。
法律通りといえばその通りですが、違和感を感じます。