キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

ラ・ジャーラ

2009年06月12日 | Weblog
メストレのホテル・プレジデントからラ・ジャーラまでは車で35分ほど、随分と近いところにあるので予想外でしたが、イタリアで初めて有機栽培の畑を見ることができました。フランスで観る有機栽培の畑とは大きく違っていて、処変われば品変わるを実感いたしました。ラ・ジャーラでは、葡萄が生えているところの根元のラインが除草剤を撒いたように除草されており、イタリアの有機栽培はフランスより基準が甘いのではないかと、最初観ただけの時には思いました。しかし決してそんなことは無く、オーナーのマッシモ、弟の醸造担当のパウロ、営業担当のジョバンニの説明を聞いてゆくうちに、ここのやり方が少しずつ分かってきました。

先ずこのカンティーナは32ヘクタールの区画と8ヘクタールの大きな区画に分かれていて、植栽されている葡萄の間隔が広く、仕立ても高くて1メートル50センチ以上のところに葡萄が生っており、機械を使っての作業性が物凄く良いことがあげられます。大型の草刈機が自動的に葡萄の根本に刈り込んだ雑草を飛ばすような仕掛けになっていて、それに加えて牛糞などの堆肥を根本に掛けることで、葡萄の根元の雑草の発生を防いでいたのです。私が知っている、例えばボージョレのドメーヌ・カレでは、柵の間が狭いのと仕立てが低いので、柵の間の地面を天地返しにして雑草の繁茂を抑えておりました。

また葡萄の棚は一列が700メートルほどあるのですが、100メートルおきにフェロモンを使った補虫器が仕掛けられていて、主に小型の蛾の駆除をしていました。これも初めて観ました。

カビ系の病気に対して、フランスでは散布が認められている硫黄粉とボルドー液の畑への使用も禁止されているようで、フランスの基準より厳しいのかもしれません。ちなみにこのカビ系の病気に対しては、葡萄の生る位置を高くしてあることと、風通しをよくするために余分な茎と葉を取り除く作業をしており、丁度今がその作業の盛りのようでした。

畑にはBIOの機関から雄雌各5匹の兎がブドウ畑に放され、1年後には100匹に殖え、また雄雌5匹からを繰り返しているとのことで、無農薬有機栽培の証にもなっているようです。実際畑の見学中にウサギを見かけ、そのウサギを狙って鷹が上空を旋回しておりました。ウサギの隠れ家を確保するため、草刈は畑全面を行わず丈の高い草が随所に残るように配慮しているとのことです。兎も有機栽培の一つの象徴でありますが、葡萄の茂みの中には鳥が巣を作って雛を孵していたり、蜂が巣を作って大きなコロニーを形成していることもあるようです。

ラ・ジャーラでは収穫は機械摘みとなります。しかしながら機械摘みの欠点である酸化の速さを防ぐために、トラクターに人を8人乗せ手摘みで収穫をしながら、自動的に葡萄をベルトコンベアでコンテナに送り込む、新たな変なシステムを考えており、途中まで出来上がったその収穫機の試作機を見せていただきました。完成まで写真撮影禁止とのことでヴィジュアルでお見せできないのが残念です。

コメント
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