▼普天間から辺野古への、米軍基地移設の賛否を問う宜野湾市長選挙だと思っていたが、「普天間からの移設」が大きく取り上げられた結果、基地の危険回避を願う市民は、政府が支援する市長を選んだ。そこで政府は「辺野古基地の建設」が支持されたと、本音をさらけ出してきた。だが宜野湾市民のアンケート結果は、辺野古移設に反対が「56%」だ。どうしてこんな結果になったかというと、政府側の単純な戦術に惑わされてしまったからだ。「普天間基地の危険除去」と「ディズニーランド誘致」という、人参が功を奏したのだ。当選した市長は、自分は子どもたちから「ディズニー市長と呼ばれる」というはしゃぎぶりだ。宜野湾市民は「政府の辺野古移設マジック」に、まんまと引っかかってしまったということになる。
▼と考えていたら、愛媛県伊方原発の再稼働をめぐり、事故の場合も考えてと、危険性を煽り、愛媛県と隣の大分県に海底トンネルをつくろうという、自民党議員連盟がシンポジュウムを開いたそうだ。この計画は「豊予海峡ルート構想」ということで、国は調査費を出していたという。鉄道部分は四国新幹線の一部になっているというから、またもや「原発と新幹線コンビ」が浮上してきたのだ。我が国は「ディズニーと新幹線」が大好きな国民のようだ。この二つのどちらかを持ってくれば、原発再稼働や軍事基地誘致も、簡単に解決されるようだ。そういえば我が函館市も、祭りにミッキーを呼んで、盛り上がったことがあったっけ。
▼政府に翻弄される沖縄県、北の北海道も「新幹線の札幌延伸と泊原発再稼働」で、なんだか、アベ総理に惑わされそうな気配がしてきている。ディズニーではないけど「冬季五輪」という、道民が期待に胸を膨らますプレゼントも用意しているようだ。最近、アベ総理に北海道知事の後見人に指名されたのは、ムネオさんらしい。私の夢に中では「アベ・ムネオ」という名でよく登場している。そういえば、ムネオさんミッキーのぬいぐるみが似合うような気がしてきた。北海道の新キャラクター「ミッキー・ムネオ」が、クマモンやふなっしーを超える人気にならないよう、道民は監視しなければならない。
▼ちょっぴり沖縄が気になったので、大江健三郎著の「沖縄ノート」を読み返してみた。琉球新報に掲載された、栃木県のある医師の投稿だ。「琉球人よ、諸君は元来が独立国であったはずだ。それが明治維新のドサクサに紛れ、日本の沖縄県民にされ領有されたのである。そして、内地官僚の左遷された役人によって統治され、日本の“赤字県”とされていたのである。・・・非常に幸運なことに第二次世界大戦のおかげで、諸君は日本を離れ米軍の施政下に入っているが、そのために諸君はまだ知らなかった世界を知ったことになる。軍事施設以外は、全く内地では想像をつかぬほどの自由を持っていたのだ。朝鮮も台湾も独立した。諸君はなぜ独立しないのか。諸君の政府を作りたまえ。財政の心配などない。観光とトバクでまかなえばよい。国営トバクだ。ただし国民はやってはならない。歓楽の国にすることだ。ケンカのない理想郷を諸君の良識で作ってみないか。つまらん本土復帰の悲願などやめたまえ」。
▼さらに内容は、日本に復帰したら、もはや、永久に独立の政府を持つことは不可能になると続く。これは本土復帰を前にした投稿のようだが、日本と米国の二重統治に置かれ翻弄される、沖縄の現在に引きずっている元凶が見えてくるような気がする。それにしても“赤字県”とは国策を受け入れざるを得なくなるという要素を含んだ言葉のようだ。翁長知事は、自治権を取り戻すために、国との真っ向対決に挑んでいる。その覚悟の裏には「沖縄独立」が潜んでいるのかもしれない。宜野湾市長選を制した後の、アベ総理と菅官房長官の顔に「アリなど踏み潰す」という言葉が、浮かんでいたような気がしたのは、私だけだろうか。
▼沖縄問題は自分たちの問題に置き換えてみるということが、今の我が国では、立憲民主主義と地方自治を守ることにつながるのではないかと思う、沖縄宜野湾市長選終了の、私なりの拙い総括だ。