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函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

土偶展の中止

2011年03月23日 14時00分16秒 | えいこう語る
4月に北海道開拓記念館で開催予定の「北の土偶縄文の祈りと心」が、震災で展示物の輸送が困難になったので、中止となった。
主たる展示物は国宝3体「旧南茅部町の中空土偶」「青森県八戸市の合掌土偶」「長野県茅野市の縄文のビーナス」である。
縄文時代は1万年も続いた稀有な文明である。
戦後教育は、縄文は未開・野蛮とされていたが、近年その評価が見直され、弥生時代をしのぐ魅力になっている。
エネルギーとしては自然木に頼り、電気のない暮らしは、人間の能力が遺憾なく発揮され、その優れた芸術性と自然との共生の暮らしぶりに、現在の私たちが学ぶべきものは多い。
最高の文明社会の恩恵を享受している私たちの暮らしが、この度の大震災で一挙に崩れ去った。その意味ではぜひこの時期に、開催されてほしかった企画である。
※わずか20センチほどの波だが、凄いエネルギーが潜んでいるような感じがしてくる。


さて北海道発の国宝に指定された「中空土偶」は、私の村の隣町から出土した。
私の村は明治9年、その南茅部町から一村独立をしている。
国宝は私の住む土地から出土したものである。国宝に指定された時の感動は、地域からオリンピックの金メダリストが出たような喜びだった。
でも、この土偶、最近私たちの手の届かぬところへ行ってしまいそうなのだ。
今年の10月には、土偶の住む館がオープンする。7億円という豪華な館だ。
地域振興の目玉と期待されているが、地元住民の期待度は相当薄い。
所管の函館市教育委員会や一部の関係者だけの、国宝に過度に期待する思惑が先走っているのではないかと心配する。
さらには、東北・北海道の縄文遺跡群を、世界遺産に登録するとの気運も盛り上がっている。
世界遺産はそこに住む人たちの生活環境にも影響する。学術的な観点ばかりではなく、地域生活とどう共生させるかの知恵が疎かになってはいないかと、心配する。
国宝館が建つ近くには、小奇麗な縄文展示館がある。無料なので年に何度か立ち寄り、縄文社会からのメッセージを感じ取っている。
よその町でこんな話を聞く。
小さいけど使い勝手のよい文化館があった。合併後、合併特例債を利用し、すぐ近くに立派な文化館を建てた。そんな感じにも見受けられる。
建設費が高額になったので、今度は有料だという。場所は車でしか行けない郊外である。
「中空土偶」は私たち現在人に、何かを語るため1万数千年もの眠りから目覚めたのだろう。
私の地域から出土した「中空土偶」、この度の大震災に対し、現代社会の経済優先主義の行き過ぎに深く悲しみ、自分は豪華な館に入るほどの身分ではないのにと、ぼやいているような気がしてならないのだが。