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函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

災害心理

2011年03月16日 14時15分31秒 | えいこう語る
地デジの鮮明な巨大画面による災害報道は、観る側と被災地の距離感を感じさせない。国民すべてが被災者と化している。
我が家も4日連続で、衣服を着たまま1階でやすんでいる。家の中から海が見える環境ではやむをえない。被災地さながらの生活だ。
昨日、隣町に用事で出かけると隣の老夫婦に伝えると「早く戻って来て」という。恐怖感はいまだに去っていないのだ。
冷凍庫からマグロの刺身を取り出し、久しぶりで寿司を握った。
テレビでは被災地の様子が映し出されている。「私たちがこんなご馳走をいただいて、申し訳ない」と妻が言う。本当に胸が支える思いだ。
少しお酒を飲んだら、疲れのせいか酔いが回ってきた。
電力会社や政府の報道、それに対するなんとも煮えきらぬマスコミの姿勢に腹が立ち、つい爆発してしまった。
相手は妻しかいない。「あなたのような発言したら、どんな組織にいてもすぐ首になる」「普段からそんなことを考えていると、必ずよそへ行って失言する」等と反撃が来る。
昨夜の我が家は、地震と津波が押し寄せたような状態となった。
※我が町内会で一番丈夫で高い建物、椴法華小学校。非常階段を確認したら、2階まででドアに鍵が掛かっていれば入れない。
災害時玄関のドアを開けてもらえれば、屋上まで避難できる。明日は村の防災会議がある。


目が覚め、恐る恐るテレビのスイッチを入れると、新たに4号機が火災だという。建屋の中に今まで図面になかった、原子力廃棄物が保存されているという。建屋が吹き飛ばされても安全だといっていた報道は、すべて嘘だったのかと唖然とする。
東京電力と政府は、エネルギー政策という国策のために国民に嘘をつき続け、「原子力発電所の破壊」という、国家による自爆テロを行っているのではないかと考えてしまう。これでは昨夜のバトルの続きである。
道新朝刊に、精神科医の香山リカさんの記事がある。
「私たちは連日夥しい災害に関する情報に映像で接し、リアルな疑似体験をしている。眠れない、不安で胸がざわざわする。気持ちが落ち込み無気力になる。逆に「何かしたい」と思い、目的もないまま動き回ってしまう。人と話してももやたらイライラする。テレビの映像から深刻なトラウマが発生している」
今回の災害は、多くの国民にトラウマを発症させたのである。
昭和20年8月15日。原子力という人類の最大の英知の結集が、無益な戦いに終止符を打った。それから66年、その英知は人類の復興と発展に貢献したかに見えたが、ここに一夜にしてその神話は崩れ去ろうとしている。
「天然に存在する元素は、原子番号92のウランまでである。これに人工的に陽子や中性子を加えて新しい元素をつくる。その第1号は93番元素ネプツニウムで、ウラン(ウラヌス=天王星に由来)の外側という意味でネプチューン(海王星)にちなんで命名された。そうなると94番元素は、とうぜんプルートー(冥王星)にちなんでプルトニユムということになるが、この元素に冥土(地獄)の王の元素、という名がつけられたのは、偶然とはいえ皮肉なことだった」と、我が国の原子力研究者の第一人者である、故高木仁三郎氏が「プルトニウムの未来」という著書に書いてある。
広島への原爆投下はウラン型、長崎はプルトニウム型である。
原爆を製造する米国のマンハッタン計画は、多額の予算を使い、その費用対効果が問われる。その結果を議会に示すため、投下されたとも言われている。
戦後の国策としての、政官財複合の原子力によるエネルギー政策、全エネルギーの3割強を確保することになり、その必要性が声高にピーアールされ、安全性を凌駕する今日、後戻りする勇気も人間の英知そのものであろう。
高木氏は、こうも語っている。
「原発の事故対策も能動的な緊急冷却ポンプなどを積極的に働かせ、事故を力でねじ伏せている。これには難点があり、動力機械が働いていなければ、事故につながる。プルトニウムは軍事的にも商業的にも財産ではなく『負債』である」
爆発した福島第一原発3号機は、MOX燃料を使用していた。
MOXとはウランとプルトニウムの混合物である。
プルトニウムは人類が生み出した元素の中でも、類いまれなる核分裂を起こしやすい元素である。
放射能が半減する時間は、2万4000年と言われている。