鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1516~水木しげる

2018-05-05 09:08:19 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、水木しげる3冊です。

今年の研修先が島根県に決まり、出雲大社に関する本を読もうと思いました。
相当数の中から選んだのは水木しげる作「出雲大社」。
すぐ近所で生まれ育った水木先生だからこそ、深い話が描かれていそうだと思いました。
そのついでに水木先生の作品をもう2冊読むことにしました。
「コミック昭和史 第1巻 関東大震災~満州事変」と「劇画 ヒットラー」です。

それぞれの感想は次の通りです。

①出雲大社

アマテラスの弟スサノオウとその息子オオクニヌシが主人公。
出雲族と大和族の勢力争いが描かれています。
天皇と有力豪族の連合軍である大和族との戦いに敗れたオオクニヌシ率いる出雲族。
やがてオオクニヌシの祟りを恐れて、当時最大の建造物である出雲大社を建立したそう。
個人的見解を含めて自由に書かれた出雲の歴史。
なかなか面白かったです。

②コミック昭和史 第1巻 関東大震災~満州事変

1923年 関東大震災
1925年 治安維持法
1927年 金融恐慌
1930年 ロンドン軍縮会議
1931年 満州事変

わずか8年の間に日本が軍国主義に染まっていく様子が丁寧に描かれています。
関東大震災の痛手から企業の連鎖倒産を防ぐ為に支払い猶予を法制化したところ、足元が固まらない内に金融恐慌が訪れます。
悪い事というのは重なるもの。
経済の混乱から社会情勢は悪化し、文民の力が及ばないことから軍部が台頭していきます。
失業者は溢れ、公務員でさえ数か月も給料がもらえないことが起こり、農村では娘が売られました。
西洋諸国の軍艦10に対して日本6という軍縮会議の決定に、国民は安堵します。
軍艦の新造船が重税となっていたからです。
けれども内閣の抑えがきかない関東軍の謀略により、国民の怒りは中国に向かって行きます。
ついにファシズムの台頭を許し、悲しい15年戦争へと突入していきます。
戦争は悲劇しか生みません。
二度と悲しい時代を繰り返さないため、体験者から歴史を学ぶことは大切と、改めて感じました。

③劇画 ヒットラー

美術学校の受験に2度も失敗したヒトラー。
やがてホームレスに。
ひょんなことから軍人になり、目覚ましい活躍により勲章をもらいます。
続いて演説の上手さが人々に知られるようになり、ナチス党はやがてドイツ第1党に。
第一次世界大戦の敗戦国としての苦しい経済事情が、国民の怒りを誘発します。
ヒトラーの演説は国民を、軍隊を元気にしました。
彼の言葉は時代が求めたものだったのでしょう。
彼は芸術的な総統を目指します。
自らの死を美学とし、軍にも命を賭けて戦うことを命じます。
特攻、玉砕、切腹などを除けば、日本帝国軍とよく似ています。
やがて自決。
ヒトラーが、国民の幸福を願う政治家ではなく、自らの美学を貫く芸術家だったことを見抜けなかったことが、ドイツ国民は不幸でした。
本書で初めて知ったことは次の2点。
・日独伊三国同盟を調印しながら互いの動きは極秘としたため、連携した動きができなかった。
・日本が真珠湾攻撃した時にはドイツはロシアから撤退を始めていた。

今回は濃い3冊でした。
以前読んだ「総員、玉砕せよ!」と併せて、とても勉強になりました。


コメント
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