鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1252~あたまにつまった石ころが

2016-09-20 12:12:04 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「あたまにつまった石ころが」です。

この素敵な絵本の著者はキャロル・オーティス・ハーストです。

AMAZONの内容紹介を引用します。
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切手にコイン、人形やジュースのびんのふた。
みなさんも集めたこと、ありませんか?
わたしの父は、石を集めていました。
まわりの人たちはいいました。
「あいつは、ポケットにもあたまのなかにも石ころがつまっているのさ」
たしかにそうなのかもしれません―
2001年度ボストングローブ・ホーンブック賞。
ノンフィクション部門オナー賞受賞作。
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子どものころから石を集めていた著者の父親を描いた実話絵本です。
「大きくなったら石に関わる仕事をしたい」
という彼に対し、大人は
「そんな仕事は儲からないよ」
と声をかけますが、全く気にしません。
やがて人々は
「あいつの頭の中には石ころがつまっているのさ」
と言い、彼自身も
「ぼくの頭の中には石ころがつまっているのさ」
というのが口癖になります。

独学で学びながら、博物館級のコレクションを蒐集した彼。
彼を見出して掃除夫として雇い、自分の後任の博物館館長にまで推挙した女性館長。
素敵な実話です。
著者の「父以上の素晴らしい人生を知りません」という言葉に納得です。

まさに「好きこそものの上手なれ」を体現した幸せな人生でした。
いろいろな抵抗にあいながらも好きなことを全うできた人生は、うらやましいくらい光り輝いています。
ふっと「さかなクン」の顔が思い浮かびました。
凡人の戯言に振り回されず、一つのことを貫き通す心の強さが共通しています。
ゴジラ松井の座右の銘「努力できることが才能である」やイチローの背中にも通じます。
わが人生を顧みると何と右往左往してきたことか!
今からでも少しは見習おうと思います。

ちなみに
「あいつの頭の中には石ころがつまっているのさ」
は本人にとっては褒め言葉だったことでしょう。

それは北杜夫著「どくとるマンボウ昆虫記」のラストと同じだからです。
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ところで私はといえば、たしかに虫たちを好きではあったが、別段それによって何のサトリをひらいたわけでもなく、人に語るべきものはなにもない。強いていえばただひとつ、たとえ人から「あいつはムシケラのような奴だ」と悪罵されようとも、私はにっこり微笑できようというものだ。
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コメント
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