鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその866~ファーブル昆虫記

2014-02-19 12:25:32 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「ファーブル昆虫記」です。

今更ながらですが「ファーブル昆虫記」を読み始めました。
1991年に集英社から発行された少年向けシリーズ全8巻です。
奥本大三郎が翻訳しています。
以前ご紹介した「ダーウィン先生世界航海記」全5巻と同じ集英社の少年向けシリーズで、見慣れた水色の装丁です。
(訂正 「ダーウィン先生世界航海記」は平凡社発行でした。似ていますが集英社発行ではありませんでした。)
10歳の子どもから大人までを対象としており、解説や図版が豊富でとても読みやすいです。
ちなみに今回は妻の蔵書なので、買わずに済みました。

このところ横山光夫著「日本蝶類図鑑」の詩情溢れる名解説が忘れられず、いろいろ古い図鑑に手を出していました。
しかし望んでいる名解説にはなかなか巡り合えず、北隆社の原色少年図鑑シリーズ3冊でかろうじて多少やわらかい解説に出会えた程度でした。
理想としては「見事な手仕事による博物図版」と「詩情溢れる名解説」が一体となった図鑑を探し求めているのですが、なかなか巡り合えません。
仕方なく図鑑のジャンルを離れ、単に名文を味わうため、串田孫一の「わたしの博物誌」に手を出したりしていました。

そうこうしている内、ネットで「詩情あふれる」「昆虫」をキーワードに検索すると、「ファーブル昆虫記」が先頭に出てくることを知りました。
そう、昆虫に関する詩情あふれる文章を読みたければ有名な「ファーブル昆虫記」があるではありませんか!
しかも妻の本棚に。
図鑑ではありませんが、かなり近いジャンルで、求めていた名文に出会えそうです。
「ファーブル昆虫記」には複数の訳者がいますが、これについてはすぐに奥本大三郎に決めました。
奥本大三郎といえば、小学1年生のクリスマスにプレゼントされた「ファーブル昆虫記」で昆虫採取にはまり、果ては「ファーブル昆虫記」を翻訳するためにフランス文学者になったとも言われている人。(真偽のほどは不明ですが・・・)
そんな人が子ども向けに翻訳した「ファーブル昆虫記」ならば、本家ファーブルの文章をより輝かせているに違いない!
期待に胸を膨らませながら読み始めました。

第1巻はスカラベ(糞虫)。
今は半分くらい読み進んだところです。
ここまで読んで気付いてしましました、本書と完訳「ファーブル昆虫記」の違いを・・・。
本書は少年向けにするためにファーブルが主人公の物語形式にしています。
ファーブルが地元の子どもたちや牧童、息子などに協力してもらいながら実験や観察を続け、スカラベの謎を解き明かしていく様子が描かれています。
ということは本書は奥本大三郎の言葉で語られており、完訳版のようにファーブルの言葉で語られていないということ。
ファーブルの詩情あふれる文章を読みたいのなら、完訳版を選択するべきでした。
・・・でも奥本大三郎が子どもたちに語りかける文章は限りなくやさしく、これはこれで魅力的。
またファーブルをこよなく愛する奥本のことですから、ファーブルの美しい表現を生かしつつ書くのは当然でしょう。
という訳で、このまま全8巻を読み続けたいと思います。

最後にここまで読んできてスカラベの生態について面白かった話を2つご紹介します。

スカラベは栄養が少ない糞(ふん)を食べるため、大量に食べなくては必要な栄養を摂取できません。
ファーブルは12時間も食べ続けるスカラベを観察しています。
その間、スカラベは食べながら自身も黒くて艶のある糞をし続け、12時間後に測ったその長さは2m88cmにも達したそうです。

スカラベにはオスメス共同で糞玉を運ぶ種類がいます。
オスメスが共同で糞玉を作り、運び、巣穴を掘ります。
巣穴に糞玉を納めるとオスはメスを巣穴に残し蓋をします。
メスは巣穴の中で糞玉の最後の仕上げを行い、卵を産み付けます。
すべてが完了しメスが巣穴から出てくると、待っていたオスがどこからか出てきて、再び2匹は糞に向かうそうです。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする