鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその722~少年H

2013-01-08 12:26:28 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「少年H」です。

年末に妹尾河童さんの文庫本を9冊まとめて買ったのですが、
実際に届いてから大変なことに気づきました。

字が小さくて読めないのです!

遠近両用メガネの度が合わなくなってきていることは気づいて
いましたが、まだしばらくは大丈夫と思っていたのですが、
河童さんの手書き文字が読めないのです。

秘蔵のハズキルーペを使う手もありますが、じっくり読むとき
以外はWメガネをできるだけ避けたい。

という訳で5年ぶりにメガネを作ることにしました。
出来上がりは年明け。

それまでの間は妻から「少年H」(単行本)を借りて読むことに
しました。

大人だけでなく子どもにも読んでもらいたいということで、
字が大きく、行間を開け、ルビがふってあります。
これは老眼にも読みやすい。

肝心の中身も、ワンパク坊主の日常や心の中が見事につづられていて
抜群に面白い。
映画「となりのトトロ」でメイとさつきがヒザ立ちで歩くシーンを
観て、そうそう、やったやった、と懐かしい記憶が蘇ったのと
同じ感覚です。

まだ上巻の半分しか読んでいませんが、好奇心旺盛な少年Hの心が
「河童が覗いたシリーズ」につながってることを強く感じます。
この後の展開が楽しみです。

ちなみにたまたまAMAZONで「少年H」のカスタマーレビューを
のぞいて驚きました。
河童さんの自伝的小説として発表されたが、史実にそわない記載が多いと
いうことで随分批判されていたのですね。
それも結構こっぴどく。
戦前~戦後の時代考証がデタラメとか、当時知りえない情報を少年や父に
語らせているので子どもには読ませるな、などなど。

いつの時代も変わらぬ少年の心を描いた小説として評価する人が少ないのは
ショックでした。
この作品は史書ではなく、エッセイストが描いた戦前~戦後の古い記憶を
たどった自伝的小説なのです。
当時子どもだった著者の記憶違いや勘違いにいちいち目くじらをたて、読むに
値せず、と断じるほどのものか、はなはだ疑問に思います。
もし本書が教科書に載る場合は、但し書きで補足するくらいで十分と思います。

繰り返しになりますが、少年の心の成長を描いた小説としては、たくさんの
子どもたちが読んだであろう「ハリーポッター」よりも上です。

現在や未来の子どもたちに読みつがれることを期待します。

コメント
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