元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ぼくの国、パパの国」

2011-11-22 06:33:50 | 映画の感想(は行)
 (原題:East Is East)99年作品。70年代のマンチェスターを舞台に、パキスタン人の父とイギリス人の母を中心にした家庭を描く。

 当然、カルチャー・ギャップをネタにしたエピソードが満載で、それなりに納得はできるものの、どうも面白くない。監督ダミアン・オドネルが新人であるせいか、演出にキレもコクもないのが凡庸な印象を受ける最大の要因だとは思うが、おそらく映画の企画自体が「題材におんぶに抱っこ」状態で、脚本が出来た時点で安心してしまったのだろう(原作は舞台戯曲だという)。

 当時のヒット曲を散りばめた音楽の使い方も、何やらタイミングが悪く印象に残らない。

 イギリスにおけるパキスタン(およびアジア系)の移民を扱った映画には他にスティーヴン・フリアーズ監督の「マイ・ビューティフル・ランドレット」などがあるが、いずれも地域社会との軋轢などの問題を内包している。

 話は変わるが、最近取り沙汰されているTPPには(農業や製造業だけではなく)労働市場の項目もある。もしも批准されるならば、外人労働者の流入によって我が国も本作に描かれるような人種的確執が表面化する可能性もあるのだ。交渉に拙速は禁物だが、どうも今の為政者達はTPP加入は確定事項として扱っているフシが見受けられる。実に困ったことである。

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