2002年作品。72年に実際に起こった連合赤軍によるあさま山荘事件を題材に、その顛末を警察の側から描き出した群像ドラマ。通常のフィルム撮りではないので(デジカム使用)画面が少々汚いのはマイナスだが、映画自体は非常に面白い。何よりドラマを“警視庁と長野県警の縄張り争い”に絞り込んだことが実に思い切りが良く痛快だ。
前代未聞の非常事態に直面した組織とその中の人物像をリアルかつコミカルに活写し、観る者の共感を呼ぶことに成功している。これを「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」の若松孝二監督みたいに“犯人側が全然描かれていない!”と批判する向きもあったようだが、そこまでやると2時間では足りなくなるし、何よりヘタに連合赤軍の“生態”にまで触れようとすると、全共闘世代がどうのこうのといったイデオロギー領域にまでとりあえず言及しなければならず、作る側にとっては鬱陶しいだけだろう。この映画のスタイルは大正解だ。
原田眞人監督にとって集団劇の演出は手慣れたもので、いわば彼の代表作である「金融腐蝕列島/呪縛」の緊迫感あふれる株主総会のシーンを幾分トーンダウンする代わりに2時間ぶっ通しでやったようなものである。人間、切迫した場面に出くわすと、かえって日頃のしがらみに囚われて大局を見ようとしないというのは事実のようだ。ここで重要になるのは役所広司扮する佐々淳行のように、真にリーダーシップを持った者であるのは言うまでもないだろう(もちろん当時実際に佐々がこのように立派な陣頭指揮を務めたのかは不明だ。ただし、原作が彼自身の手によるものなので、いくぶん主人公をヒーロー扱いしているのも仕方がないだろう)。
藤田まことや串田和美ら脇のキャストも的確で、松尾スズキや蛍雪次郎が思わぬ役で起用されているところなど嬉しくなってしまう。雪山で格闘するスタッフの頑張りも十分伝わってくるし、これは近年の日本映画のひとつの収穫と言えよう。
前代未聞の非常事態に直面した組織とその中の人物像をリアルかつコミカルに活写し、観る者の共感を呼ぶことに成功している。これを「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」の若松孝二監督みたいに“犯人側が全然描かれていない!”と批判する向きもあったようだが、そこまでやると2時間では足りなくなるし、何よりヘタに連合赤軍の“生態”にまで触れようとすると、全共闘世代がどうのこうのといったイデオロギー領域にまでとりあえず言及しなければならず、作る側にとっては鬱陶しいだけだろう。この映画のスタイルは大正解だ。
原田眞人監督にとって集団劇の演出は手慣れたもので、いわば彼の代表作である「金融腐蝕列島/呪縛」の緊迫感あふれる株主総会のシーンを幾分トーンダウンする代わりに2時間ぶっ通しでやったようなものである。人間、切迫した場面に出くわすと、かえって日頃のしがらみに囚われて大局を見ようとしないというのは事実のようだ。ここで重要になるのは役所広司扮する佐々淳行のように、真にリーダーシップを持った者であるのは言うまでもないだろう(もちろん当時実際に佐々がこのように立派な陣頭指揮を務めたのかは不明だ。ただし、原作が彼自身の手によるものなので、いくぶん主人公をヒーロー扱いしているのも仕方がないだろう)。
藤田まことや串田和美ら脇のキャストも的確で、松尾スズキや蛍雪次郎が思わぬ役で起用されているところなど嬉しくなってしまう。雪山で格闘するスタッフの頑張りも十分伝わってくるし、これは近年の日本映画のひとつの収穫と言えよう。


