元・副会長のCinema Days

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「モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン」

2023-12-22 06:03:57 | 映画の感想(ま行)
 (原題:MONA LISA AND THE BLOOD MOON)どこが良いのかさっぱり分からないが、なぜか世評は悪くない。つまりはオッサンである私の感性が、この新奇なニューウェイヴっぽい作劇に合わなかったのだろう(苦笑)。まあ、それ自体がケシカランと言うつもりはない。少なくとも、高邁な作家性とやらを無駄に長い上映時間をもって押しつけてくるどこぞのシャシンとは違い、重いタッチも無く106分でサクッと終わってくれるあたりは許せる。

 ルイジアナ州の精神病院に12年もの間隔離されていた少女モナ・リザは、突如として他人を操る特殊能力を身に付ける。そのパワーを駆使して施設から逃げ出した彼女は、やがて休むことを知らないナイトライフが展開するニューオーリンズにたどり着く。そこの歓楽街で偶然知り合ったポールダンサーのボニー・ベルは、モナ・リザの力を利用して自らの私腹を肥やすことを考える。一方、モナ・リザのパワーを察知したハロルド巡査は、単身彼女を追う。



 まず、モナ・リザがいつどうして超能力に目覚めたのか、そしてどのようなプロセスでそのパワーが発揮されるのか、そのあたりが説明されていないことが不満だ。これでは感情移入のしようがなく、当然のことながらスリリングな筋立てに持って行くことも出来ない。モナ・リザを演じるのは韓国人俳優チョン・ジョンソなのだが、どうしてアジア系なのか不明。別にアジア人ではいけないという話ではないが、あまり英語に堪能ではない彼女が長期間施設に軟禁されていたという設定は何らかの事情があって然るべきだと思う。しかし、映画は何も言及しない。

 また、このモナ・リザという危険人物を追うのが現場要員のハロルドを中心とした少人数だけで、別にサイキックパワーを狙った謎の組織が出てくるわけでもないというのは、何とも気勢が上がらない。ボニー・ベルの子供が大きくドラマに関わってくるのかと思ったら、終盤の追跡劇を除けば活躍の場が少ない。

 監督はイラン系アメリカ人のアナ・リリー・アミールポアーなる人物で、これが長編第3作だという。キッチュな舞台セットの多用において個性を出しているのかもしれないが、あまりピンと来ない作風だ。エクステリアで観る者を捻じ伏せるというタイプではなく、分かる人だけ分かれば良いといったノンシャランなスタンスが身上なのだろう。言い換えれば、このスタイルに乗れない観客(私もその一人)はお呼びではない。ケイト・ハドソンにエド・スクレイン、エヴァン・ウィッテン、クレイグ・ロビンソンといった顔ぶれも特筆すべき点は見当たらない。

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