元・副会長のCinema Days

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「トイ・ストーリー3」

2010-07-28 06:44:25 | 映画の感想(た行)

 (原題:Toy Story 3)前作には及ばないまでも、これはかなりクォリティの高い映画だ。このシリーズにおいて、おもちゃは人間の見ていないところでは意志を持って行動し、人間に奉仕する身近な存在でありながら、人間社会と同化することはない。彼らは持ち主を見守ることしかできない“精霊”のような存在である。この設定を考え出した者はよほど性根が優しいのだろう。

 前回までは子供だった持ち主のアンディも高校を卒業し、遠方の大学に進学するためにもうすぐ家を出なければならない。ウッディたちおもちゃは“処分”されるかもしれないと戦々恐々。アンディはおもちゃをひとまず屋根裏部屋に保管しようとするが、母親の手違いでゴミ捨て場に。ゴミ回収者が来る前に何とか脱出して近くの保育園へと避難したのも束の間、そこは強権的なクマの縫いぐるみが支配する“独裁国家”だった。悪ガキどもの相手を強いられてボロボロになる彼らに、一発逆転の秘策はあるのか。

 相変わらず各キャラは十分に立っていて、リー・アンクリッチ監督の快調な演出テンポによるジェットコースター的な展開は今回もお手のもの。アクション場面も練り上げられていて、次から次へと繰り出されるアイデア満点の活劇場面には唸らされる。トム・ハンクスやティム・アレンなどの声優陣も好調だ。

 しかし、この映画のハイライトは静かな終盤にある。おもちゃの真の居場所を見つけ出したアンディが、新たな持ち主に対しておもちゃと一緒に過ごす事がどんなに楽しいか言い聞かせる場面の、何と感動的なことか。おもちゃにとっては、屋根裏でいつ来るとも知れない“再登場の日”を待ち続けるよりも、今このときに貴重な子供時代を送っている幼い者の遊び仲間になる方が“幸せ”なのだ。

 おもちゃに愛情を注げば、必ずそれは自分に返ってくる。アンディがナイスな若者に成長したのは、おもちゃと一緒に育ち、苦楽を共にしたからであり、モノを粗末にしなかったからなのだ。そしてその心情は確実に新しい持ち主に受け継がれていく。母親がアンディとの別れを惜しむ切ないシーンも含めて、本作は人間にとって一番大切なものは何なのか、それを平易な形で教えてくれるとびきりの良作と言っていいだろう。

 映画の出来自体は、多重的なプロットが絶妙に組み合わされた前作ほどではない。しかし、完結編としては“これ以外には作れない!”といった作者の自信が漲っている。ランディ・ニューマンによる音楽も絶品。私は苦手な3D版を観るハメになってしまったのだが、その仕掛けに対して個人的な苦言を呈するのも忘れてしまった(笑)。

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