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元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ティアーズ・オブ・ザ・サン」

2011-01-25 06:34:30 | 映画の感想(た行)
 (原題:Tears of the Sun)2003年作品。内戦下のナイジェリアからアメリカ国籍の女医を救出せよとの命令を受けたアメリカ海軍特殊部隊の隊長(ブルース・ウィリス)が、思わぬ出来事によって“個人的な戦闘”に身を投じていく様子を描く。

 ウィリスみたいな内面的演技の出来ない俳優にこういう役を振ってはいけない。百戦錬磨の米海軍特殊部隊の隊長が、現地軍による狼藉を目撃したぐらいで(ここであえて“ぐらい”という表現を使わせてもらう)、急に博愛精神に目覚めて命令違反をおこなうなどという御都合主義的な展開を押し切るためには、主人公の中で起こったであろう決定的なパラダイムの転換(モニカ・ベルッチ扮する女医の色香に迷ったわけでもあるまいに)を描ききらなければならないはずだが、元より大根のウィリスには無理な相談である。

 しかも、軍紀違反を犯したせいで自軍に少なからぬ犠牲者が出たという不祥事に対して議会やアメリカ世論が簡単に納得するはずがないことを考え合わせると、この設定には最初から無理がある。

 監督のアントワン・フークアは黒人であるせいか、アフリカとその原住民に対して思い入れがあるのは分かるが、ここではそれが過剰であり、時として鬱陶しい。戦争アクションとしての段取りも下手で、ラストの戦闘シーンなどただ銃を撃ちまくっているだけで何の工夫もない。

 冷戦以降のアメリカ軍の働きを描いた映画としては「ブラックホーク・ダウン」や「エネミー・ライン」に及ばない、低調な出来と言わざるを得ないだろう。

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