元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「バレリーナ」

2023-10-22 06:11:28 | 映画の感想(は行)
 (原題:BALLERINA )2023年10月よりNetflixから配信されている韓国製のアクション編。各キャラクターは“立って”おり、ドラマの流れもスムーズだが、設定上での説明不足の感がある。あまり饒舌になる必要は無いが、それでも最小限の御膳立てはあって然るべきだ。映像処理では見るべき面が多々あるだけに、もう少しシナリオを精査して欲しかった。

 かつて警護の仕事に携わり、腕っぷしの強い若い女子オクジュは、バレエダンサーだった親友のミニがいきなり自殺してしまい、ショックを受ける。ミニはオクジュあてにメッセージを残しており、チョイというヤクザな男から長年暴行を受けており、かたき討ちをして欲しいという。早速オクジュはチョイと接触するが、彼のバックにはドラッグを扱う大規模な犯罪シンジケートが控えていた。彼女は組織を丸ごと叩き潰すため、戦いに身を投じる。



 ヒロインはやたら強いが、プロフィールに関して言及されていないのは納得できない。たとえば元KCIAのエージェントとか、かつて傭兵だったとか、そういう経歴を暗示させても良いと思うのだが、実に残念だ。この点「イコライザー」や「トランスポーター」といったハリウッド製の活劇シリーズには一歩譲る。

 そして、これだけ大々的バトルが巻き起こっているのに警察・公安当局が出てこないのは噴飯ものである。敵の首魁にはもっと見せ場があった方が良かったし、唐突に“武器商人”が出てくるのも失笑するしかない。まあ、ギャグのつもりで挿入したのだろうが、バックグラウンドが紹介されていないので効果はイマイチだ。

 それでも、オクジュに扮するチョン・ジョンソの身体能力には瞠目させられる。チョイをはじめ敵方との立ち回りは、かなりの盛り上がりだ。彼女はイ・チャンドン監督の「バーニング 劇場版」(2018年)にも出ていたが、あまり良い印象は受けなかった。ところが本作では打って変わった好調ぶり。役柄さえマッチすれば、俳優の長所が引き出されることを痛感する。脚本も担当したイ・チュンヒョンの演出は荒削りだがスタイリッシュでスピード感があり、観る者をあまり退屈させない。特にラストのショットは印象的。キム・ジフンにパク・ユリム、シン・セフィといった他のキャストも申し分ない。
コメント
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