元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ポリス・ストーリー REBORN」

2018-12-21 06:49:00 | 映画の感想(は行)

 (原題:机器之血)ジャッキー・チェンの出演作には今まで数多く接してきたが、本作が一番つまらない。もとより60歳をとうに過ぎたジャッキーに、昔のような身体のキレは期待していない。そのことを前提として、脚本と演出を十分に練り上げれば誰が観ても納得出来るアクション編に仕立てることは可能だったはずだ。しかしながらこの映画、作劇がまるで話にならない。観て本当に後悔した。

 2007年の香港で国際捜査官を勤めていたリンは、重篤な病に冒された幼い娘を見舞いに行く途中、急遽証人警護の指令を受ける。だが、謎の怪人や黒ずくめの武装集団に襲われ、任務は失敗。その間に娘は亡くなってしまう。13年後、シドニーでの海外勤務に就いていた彼の周囲に、再びあの犯罪者一味が暗躍し始める。さらに怪しいハッカーの青年がリンにまとわりつく。かつての証人が人工遺伝子の研究に関わっていたことが関係しているらしいが、そのターゲットがリンが密かに見守っている女子大生のナンシーであることが判明する。

 アクション映画史上にその名を残す、あの「ポリス・ストーリー」シリーズとは無関係のシャシンである。だが、それを勘案しても、いい加減な作りに脱力した。おそらくジャッキーとは一番合わないSFモノの佇まいで、出てくる大道具・小道具は「X-MEN」あたりの劣化コピー。しかも予算が潤沢ではないためか、画面自体が実に貧乏くさい。

 主人公が主に戦う相手はいつもの優れた体術を持つ悪者どもではなく、色気の無い女サイボーグとアメコミ映画の脇役に出てくるような二線級のヴィランのみ。そもそも、人工遺伝子という“何でもあり”のモチーフを出してきたのが大間違い。後半いくら話がメチャクチャになっても、“何でもあり”のネタを扱っていることを言い訳にしているためか、作っている側は恥じ入る様子も無いようだ。

 レオ・チャンの演出は水準以下で、まともにドラマを作れない。活劇場面も凡庸極まりなく、観ていてちっとも盛り上がらない。断っておくが、これはジャッキーの加齢のせいではない。見せ方と段取りがヘタだから、面白くないのだ。

 結局、印象的だったのはエンドクレジットに流れるNG集のみである。ショウ・ルオやエリカ・シアホウなどの脇の面子もパッとしない。なお、ナンシー役のオーヤン・ナナは欧陽菲菲の姪とか。まあ、だから何だという感じだが。
コメント
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