元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「青春共和国」

2014-11-01 06:25:03 | 映画の感想(さ行)
 84年東宝作品。80年代はアイドル映画がたくさん作られた時代であったが、角川映画の一部の作品などを除けば、大半が語る価値もあまりないほどのクォリティだった(まあ、私もそんなに観ていたわけではなかったが ^^;)。本作もその一本だが、今から考えると設定には多少の興味を覚える。

 高校生の英子は、同じクラブに属する純夫たちと西川という生徒の飛び降り自殺を目撃する。英子のクラスメートである洋子は西川と交際していたが、ショックを受けて行方をくらましてしまう。そんな折、若者の間で話題になっている“青春共和国”という島から、英子のもとに招待状が届く。洋子がそこにいると予想した彼女は、仲間達と共に島に乗り込む。赤川次郎の同名小説の映画化だ。

 主演は安田成美だが、加えて武田久美子や矢野有美といった“年齢の割には大人びた面子”(笑)が顔を揃えているせいか(彩度の低い画面も相まって)妙に沈んだ雰囲気が横溢する。映画自体もそれに呼応したように気勢が上がらない。島を支配する“大統領”とその一派の描写は幼稚そのものだし、展開は行き当たりばったりで活劇シーンも低調だ。

 真屋順子や長門勇、ベンガル、宍戸錠といった大人のキャストも低調なパフォーマンスしか見せていない。ただし、怪しげなカリスマ的人物に盲目的に心酔する若者達という設定は、何やら昨今の過激派組織の構図を見るようで、苦いものを感じてしまう。

 監督は小原宏裕で、彼の過去の作品では82年の「白薔薇学園 そして全員犯された」ぐらいしか観ていないが、これも大したシャシンではなかった。日活ロマンポルノ出身で数多くの作品を手掛けている割には、他の成人映画出身の有能な監督と比べれば見劣りのする仕事しかしていないようだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする