元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「Fundamental」のアンプを試聴した。

2012-05-06 08:06:01 | プア・オーディオへの招待
 以前SOULNOTEの新しいプリアンプのプロトタイプについて書いたが、先日完成品に近いものに接することが出来たのでリポートしたい。この製品は同社が新しく展開する高級ブランド「Fundamental」の第一号アンプになり、「LA10」という型番で近日中の発売を待つだけである。

 電源部とコントロール部の二つの筐体で構成されていることは前の試聴会で紹介済だが、実売モデルとして驚かされるのはその剛性の高い仕上げである。外枠のパネルおよび底板はとても厚く、しかもそれらが“点接続”でしっかりと固定されている。主宰者によると、各パネルを“点”ではなく“ライン”で繋げると歪みが発生し、それが音質に悪影響を与えるとのことだ。

 内部のパーツの取り付けや配線はすべてハンドメイドで、巨大なトロイダル型電源トランスをはじめ各部材の選定にも細心の配慮が成されていることが垣間見える。また整然とした部品の配置に感心した。



 システムのラインナップは前回と同じく全てSOULNOTE製品で固められていたが、再生音がリファインされているのは(前の試聴会から時間が開いたとはいえ)確認できる。とにかく音場や音像の練り上げ方が半端ではなく、わずかの曇りも無い。高度な再現性だ。

 定価は100万円だという。かなり高価で容易に手を出せるものではないが、この凝った作りでは仕方がないと思う。たとえば海外メーカーが同じ工程で作成するとしたら、この倍のプライスタグが付いていることだろう。

 ただし、カネを持っているマニアならば誰にでも奨められるかというと、そうはいかない。何しろ本機は入力が一系統しかないのだ。主宰者曰く“入力セレクターを備えると余計な回路が増え、音質の劣化に繋がる”ということで、複数の音源装置を使うリスナーは入力切替が可能なDAC(デジタル/アナログ・コンパーター)を併用しなければならない。

 音源がCDトランスポートやパソコン等のデジタルメディアだけならばそれでOKかもしれないが、アナログプレーヤーやラジオチューナー等を繋げようとすると、そのたびにケーブルを付け替えるしかない。まさに使い勝手を半ば無視したような仕様であり、汎用性を捨象して音質本位に練り上げられたのが本モデルの特徴である。

 今のところ「Fundamental」のアンプはこれ一機種だけであり、スピーカーを駆動するためのメインアンプの開発も未定ということだが、既存の他社メインアンプに合わせても十分なパフォーマンスを発揮すると思われる。とにかく、発売後の市場の反応をチェックしてみたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする