元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ロード・トゥ・パーディション」

2011-02-15 06:36:51 | 映画の感想(ら行)
 (原題:Road to Perdition )2002年作品。妻子を殺された殺し屋の復讐と逃避行を描いたアクション編。公開当時は評判が良かったが、その世評とは裏腹に、それほどの映画とは思えない。

 確かに時代設定の1930年代の時代背景描写と映像、および舞台装置の素晴らしさは認めるが、要するにこれは「子連れ狼」のアメリカ版でしかない。その意味ではストーリーも完全に予定調和。トム・ハンクス、ポール・ニューマン、ジュード・ロウといった豪華キャストを揃えていながら“予想通り”の演技しかさせていないのには大いに不満。

 活劇場面に特筆できる個所もない。そして何より「アメリカン・ビューティー」で一躍脚光を浴びたサム・メンデス監督の個性がまったく出ていないことに愕然とした。「アメリカン~」での屈折したシニカルさはどこにもなく、ある程度の技量を持つ演出家なら誰でも撮れるシャシンに終わっている。

 メンデスのような突出した個性を持つ外様(イギリス人)の作家も、よほどしっかりしないとハリウッドではお為ごかしの仕事を押しつけられた挙げ句に才能を消費されてしまうことを如実に示している。それにしても原題そのまんまの邦題は勘弁してほしい。
コメント
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