元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「アイ,ロボット」

2008-06-12 06:58:00 | 映画の感想(あ行)
 (原題:I, Robot)2004年作品。意志を持ったロボットたちが反乱を起こす近未来社会を描いたSF活劇もので、原作はSF界の重鎮アイザック・アシモフである。ただし、有名な小説を映画化して成功した例などけっこう少ない。本作もそのパターンに過ぎない。

 今どき“ロボットが人類に反旗を翻してどうのこうの”という手垢にまみれたモチーフには興味はないし、スクリーンの真ん中でふんぞり返っているウィル・スミスに演技面を期待しても仕方がない。脚本面も穴だらけで、特にメイン・プロットとなるべき“ロボット工学三原則”が単なる“生産者側のポリシー及びステートメンツ”に過ぎず、実際は殺人ロボットだろうが何だろうが作り放題だという設定には呆れた。

 よって映画の焦点は「ダークシティ」でSFファンが大喜びしそうな映像構築力を存分に発揮したアレックス・プロヤス監督の“画面作り”へと自然に移ることになる。しかし、残念ながら本作では“主人公”であるロボットのサニーの造形以外にはこれといったヴィジュアルは見当たらない。終盤のアクション場面は馬力はあるが、よく見るとカメラをぐるぐる回しているだけで、これをもって作品自体のアドバンテージとするわけにはいかない。要するに“観ている間だけはまあ退屈しないSF活劇編”というレベルに留まっている。

 それにしても、いくら舞台が未来だとはいえ、中盤のカーチェイスもほとんどCGで処理しているのにはアクション映画好きとしては釈然としないものを感じる。少しは本物っぽく見せて欲しいものだ。
コメント
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