Weblog喫茶 モンブラン

日常のあれこれをのんびり綴っています

落ち葉の美しさ

2005-12-04 21:04:48 | ヴィシアの日常

モンブランへご来店の皆様、こんばんは。
今日は関東はとっても寒かったですね。冬本番も近い感じです。

ヴィシア家は低層マンションの2階で、ベランダは小さな公園に面しています。窓の前には大きな桜の木が何本もあり、春にはリビングからお花見が楽しめるという、なかなかのロケーション。
公園ですから(昼間は子供の声などもしますが)夜は本当に静かで、風の夜などは桜の木の枝が揺れて、森の中にいるような音を立てます。東京都西部の、特にそれほど自然が多いわけでもない土地なのですが、いつも窓から大きな木が見えるというのは、とてもぜいたくなことだよな・・・と思いながら、気に入って毎日暮らしています。

この家には昨年の3月、しゅんけいの春休みに千葉県から引っ越してきました。
引っ越してすぐ、ベランダの外の桜の木が満開になり、その見事さに「おお~」と、引っ越してよかったな・・・と思いました。千葉県では駅前の高層マンションに住んでいて、木も見えないしクルマはうるさいし、空気も悪いし、便利な以外いいことがなかったので。

そして桜の花が散り、葉が茂り、梅雨が来て去り、葉陰からもれる日差しがまぶしくなってきたな・・・と思った7月頃。
私は突然大きな病気をして、入院してしまいました。

最初の病院で診断ミスがあったため、適切な治療が受けられず、みるみる容態は悪化。意識不明のまま転院した先の病院でようやく確定診断がつき、治療が開始されましたが、状態は既に非常に悪く、夫・ぱぴりおは、主治医から「覚悟してください」と言われたそうです。おそらく9割方、死ぬということだったのでしょう。

しかし、2ヶ月あまりの意識不明の状態から、奇跡的に私は意識を取り戻し、苦しかったですがリハビリをして、今年の1月に7ヶ月ぶりに退院できました。
退院したといってもしばらくは家でほとんど寝ていて、記憶力もなく何もできなかったのですが、3月頃から徐々に活動できるようになり、ブログを立ち上げ、家事や軽い外出などができるようになりました。またベランダの桜を見られたのはその頃でしょうか。きれいだったのをうっすら覚えています。

夏には夫と旅行をしたり、ジムに通い始めたり。薄紙を剥がすように・・・ではありましたが、それでも徐々に回復していく自分に、「こんな弱っちい私にも、ちゃんと治っていく力があったんだな・・・」とちょっと感動しました。(^^ゞ

そして秋が来て、今初冬を迎えています。去年の今頃は、まだ車椅子でした。立つこともできなかったかもしれません。言葉もろくにしゃべれず、当時の記憶はほとんどありません。ただ冬枯れの茶色い落ち葉の積もった病院の広い中庭を、誰かに車椅子を押してもらって日光浴したことを、写真のひとコマのように覚えています。押してくれていたのは、きっと毎日お見舞いに来てくれていた夫だったのでしょう。

今朝、ベランダのハーブに水をやろうと窓を開けてみると、桜の木の下に色とりどりの落ち葉がたくさん積もっているのが目に入りました。
赤と黄色の葉が、何千枚あることでしょう。美しいなと思い、写真に撮りました。
去年、私はこの風景を見ていないのです。入院していましたから・・・。
引っ越してきてから初めて見る、きれいな錦織のような絨毯でした。

もしかしたら今頃はこれを見ることなく、星々の世界に行ってしまっていたのかもしれないな。
小さな風景だけど、美しいな・・・見られてよかった。ほんとうに。

死にかけて以来、青空や海、高原、花々、鳥の声、好きな音楽、風の音、絵画など、美しいものを見た時に得る感動が、深くなったような気がします。
それは、9割方もう見られなかったはずのものだからかもしれません。
美しいものを見た時に、思わず泣いてしまうことも多くなりました。感動ドラマなどではかえって”引いて”クールになってしまうひねくれ者なのですが、ごく普通の暮らしや世界の中に存在している美しいものに対しては、何か深く心を揺さぶられるようです。

今日は珍しく?シリアスなヴィシアでした。
あと何年生きられるかわかりませんけれど、できるだけ美しいものを、この目に見せていってやりたいです。(^^)