Weblog喫茶 モンブラン

日常のあれこれをのんびり綴っています

銀河鉄道の夜

2005-04-19 00:26:31 | ノンジャンル

今日はNHK衛星第2でアニメ映画「銀河鉄道の夜」が放映されました。
先日NHKの受信料不払いについてちょっと書いたりしたので、少々後ろめたいのですが、今月なら半額払いますから勘弁してくださいまし(冗談)。

さて、この映画、1985年の制作ですからもう20年も前なのですが、
素晴らしい作品だと思います。
宮沢賢治のあまりにも有名な同名の小説を映画化したのですが、登場人物が直立して歩く猫になっています。この絵の原作は、ますむらひろしさんというマンガ家さんで、「ヒデヨシ」というデブ猫のキャラクターの「アタゴオル物語」シリーズが有名ですね。

キャラクターを猫にしたことで、よりファンタジーの要素を多くし、夢幻の世界を表現した手法、
丁寧な作画、華美にならず抑えたストーリー展開(宮崎駿ならこうはできなかったでしょう)、
細野晴臣氏の美しい音楽で、他のアニメには真似のできない独自の美的世界を作り上げたという点で、
国際的にも高く評価されても不思議はないと思います。

公開当時映画館にも観にいき、以後テレビで放映されるたびに見ていますが、ジョバンニとカムパネルラの別れのシーンでは、いつも必ず泣いてしまいます。
一緒に見ていた子供たち(小3)はケロッとしていましたが。
キミたちにはまだこういう心の微妙な動きというのがわからないのね~。

その後アニメ界も宮崎駿氏の独壇場になり、「人間愛」「環境愛」「びっくり箱をひっくりかえしたような」みたいなのが長編アニメの合言葉になってしまいました。
彼の姿勢も、悪くはないと思うのですが、芸術の持つ繊細な一面を、あまりにも勧善懲悪っていうかステレオタイプなとらえ方で斬ってしまって、「キミたちにはこんなもんでいいでしょ」って感じでぽーんと放り投げられちゃっているような、そんな印象すら持ってしまいます(特に「もののけ姫」とか)。

ニンゲンが頭の中でイマジネーションした、ありえない世界やキャラクターが動き、しゃべる・・・これって本当に、ニンゲンにしか作れない、すばらしい表現方法だと思うのです。
アニメは決してオタクだけのものではありません。
大人が(むろん、子供と一緒に)楽しめる、上質の芸術作品としてのアニメ・・・
アニメのダントツ先進国日本、世界に名だたる美意識を持っている誇り高き日本人たちに、
背景の道端のリンドウにまで神経のゆきとどいた、そんな素晴らしいアニメを作っていただきたいものです。