花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

秘密のメモ

2022年05月08日 | 研究
温室の引き出しの中からこんな不思議な紙が出てきました。
しかしこの図を見てすぐに思い出しました。
これは2016年、当時の1年生の研究生フローラJr.が取り組んだ
研究について書かれている貴重なメモです。
この年、Jr.はクワイの水耕栽培研究に取り組んでいましたが大失敗。
失敗がわかったのはもう秋だったので、チームは頭を抱えてしまいました。
なぜなら研究の楽しさを1年生に知ってもらおうというのがJr制度の目的。
それが失敗してしまったら元も子もありません。
そこでチームは第2段のテーマを用意。チャレンジしてもらいました。
仮説はもっていましたが、成功する保証などありません。
今考えるとかなりの冒険だったと思います。
さてこのメモには何が書いてあるのでしょう。
実はJr.が挑戦したのは人気のキノコであるナメコの栽培。
人工培地で育てるのですが、電気刺激で発生を促そうというものでした。
この図に書かれているのは配線図です。確かCDのイヤホンジャックから
音声電流を取り出し、培地に電気を流しましたが、そのままでは大きすぎるので
エレキギターのボリュームスイッチを買ってきて途中に入れ、
抵抗を変えながら求める電圧に調整した記憶があります。
これはそのスイッチの配線を表したもののようです。
実験開始は11月下旬、いったいどうなったと思いますか?
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スピンオフ

2022年05月08日 | 研究
大昔、前任校の生徒たちと製作したLEDスタンドです。
両端がUSBーA端子のケーブルを買ってきて、ナイフで半分に切断。
端子の反対側にLEDをハンダでくっつけます。
このままだとショートしてしまうので、熱収縮チューブでカバーして完成。
このライトをこれまた自作の青森ヒバの台座に通してPCから給電すると
丸い穴の開いた台座の下が光るLEDスタンドの出来上がりとなります。
この丸い穴に差し込むのは培養瓶。短くて太いガラスの試験管です。
かつてこの研究室で生徒たちと洋ランの無菌培養に取り組んでいました。
しかし成長が遅くどうも達成感が感じられません。
そこでバイオテクノロジーの技術を応用して試験管内にサボテンを播種して
育てて楽しむという遊びを思いつきました。
楽しむのはゆっくりと育つサボテンと培地が発する美しい光です。
最初、色つきLEDを考えましたが価格が高くなるので方針変更。
培地に食紅で着色しました。もちろん寒天培地では白く濁るので
ジェランガムという透明な培地に変更。それはそれはきれいに光りました。
また面白いことにピンク系やブルー系の培地とグリーンの培地では生育が異なります。
葉が変形してできたというトゲの間隔も違ってきます。
これは光合成の関係。この経験がのちのTEAM FLORA PHOTONICSにつながります。
かわいいサボテンと優しい光は育てる人に癒しを与えます。
そして人はPCに電源を入れることでサボテンに室内でも育つ光を供給します。
コンセプトは「共生」。先生方によるお試し試用を経て、文化祭で販売。
その後、「フロム・ラボ 〜研究室からの贈り物〜」と題した商品開発がさらに行われ
大いにみんなで楽しんだものです。この作品は生徒によって特許出願もされています。
来年も研究から派生して生まれるこんな面白い副産物に期待しています。
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嘘のような本当の話

2022年05月08日 | 研究
1年生のJr.が培地に電気を流した培地です。
培地の縁だけでなく全面にびっしりと
小さなナメコが無数に発生しているのがわかります。
人工栽培でキノコを発生させる時は「菌かき」といって培地の表面を削ります。
すると菌糸が切れ、そこにキノコの蕾である原基ができるといわれているからです。
ところが電気を流すと培地の表面はもちろん、
横からもとんでもない数のキノコが出て来ました。
表面を削る菌かきと違い、電気は培地全体に流れます。
おそらくこれが原因で培地のいたるところの菌糸を傷つけ、
無数に原基ができたのだと想像しています。
昔から雷が落ちた木にはキノコが発生するのを田舎の人は知っています。
またキノコのホダ木をハンマーなどでなぐっても発生するといいます。
間違いなくみんな菌かきと同様、菌糸が傷つき原基ができるからだと思うのです。
しかし人工栽培で行われていることと自然界で起きていることを
結びつけて考える人はあまりいないようで、
数年前はこんな研究など誰もしていませんでした。
でもJr.にとっては予想通りの結果でした。
ところが彼らにはこの仮説を証明するのが難しく、
学会主催の発表会とコンクールでそれぞれ1回受賞しましたが
Jr.が発見したこの興味深い結果はなかなか信じてくれませんでした。
嘘のような本当の話。誰か試してみませんか。
なおこの時のJr.はその後、環境研究班に入り
2018年の水の国際大会で準グランプリを受賞しています。
もしあの時、再チャレンジしなかったら研究に対する良いイメージがもてず
準グランプリなどなかったかもしれません。
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