花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

安心してください

2020年03月31日 | 研究
目の前にあるのはなんと点滴ではありませんか!
とうとうハンターズが病に倒れたかと心配した方もいるかと思いますが
安心してください。みんな元気です。ではこの点滴は何でしょう。
実はこれ、植物に潅水する簡易装置なのです。
毎日植物に水やりするのは意外に時間がかかる作業です。
農場ならばプロの専門の先生方が作業に当たっていますが
環境班の馴化温室はメンバーだけで管理しているの大変。
特に夏休みは毎日出校しなければ、水不足で枯死してしまいます。
そこで歴代フローラはさまざまな工夫をして来ました。
一番多かったのは自動潅水装置の導入。
家庭用のものでしたが、1日の潅水回数や潅水量を設定すると
無人で水やりをしてくれる便利なものでした。
しかし老朽化でこちらは途中で故障。
そこで登場したのがこの点滴潅水です。
袋に入れた水や養液を上からポタポタ落とすので電気も不要。
そのため健全に育つのですが、見ている人からはどこか病気のように見え
逆に不健全に感じてしまう欠点があります。
これはかつて使ったものの余り。物置から未使用なものが出て来ました。
もし機会があったら、あえて窓に病室のように点滴された鉢を並べるという
前衛芸術に挑んでみようかと思います。
なお今まで最も安心で確実な潅水法は、夏休み前に農場の先生に依頼すること。
農場の先生の仕事が30分ほど増えますが、頭を下げることで代行してくれました。
今日で3月も終わり。校長先生をはじめ、お世話になった農場の先生方も
異動や退職でお別れとなります。長い間のご支援、心から感謝いたします。
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いつ切るか?今じゃないでしょ!

2020年03月31日 | 環境システム科
これはアジサイ。もう緑の芽が吹いてきました。
アジサイの栽培は簡単ですが、放置すると大きくなるのが欠点。
そこで時々、剪定作業をすることになります。
それではいつ切るべきか。
残念ながら「今でしょ!」というわけにはいきません。
なぜならアジサイの花芽が分化するのは9月。
したがってもうこの茎には花芽ができているため
切ってしまうと、花が咲かなくなってしまうのです。
そのため剪定するなら花が終わったすぐ。
夏から花芽分化する9月までに行うのがベストです。
しかしこの枝が、みんな生きているとは限りません。
中には葉が出てこない枯れ枝もあるので、
そちらは春までに切れば大丈夫です。
ただあまりにも大きくなりすぎた場合は、
思い切って3分の1ぐらいに強く剪定する必要があります。
もちろんそんなに切ると翌年は咲きませんが、それはそれで仕方のないこと。
このように時と場合により、考えながら管理していきます。
さてフローラの解散によって昨年名農から姿を消すはずだった環境班ですが
学校による2年間の延命措置がとられ、名前をチームフローラフォトニクス
トレジャーハンターズとバージョンアップして活動して来ました。
明日から新年度となりますが、ハンターズにとっては最後の年。
ご贔屓のほどよろしく願いいたします。
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忘れてた宿題

2020年03月30日 | 研究
学校再開となっている地域が増えていますが
残念ながらお隣の八戸市ではコロナの保菌者が増えており
名久井農業高校は依然、休校状態が続いています。
生徒がいないと学校は何もできないところ。
そこで古い資料を廃棄しながら整理していると、面白いものが出て来ました。
それがこのオンオフタイマー。しかし一般のものとは、ちょっと違う機能があります。
それはオンオフを行う基準が設定された時間ではなく気温。
設定した一定の気温になるとオンオフを繰り返すのです。
つまりオンオフセンサーといったほうが良いかもしれません。
パッと思いつくのが金魚を飼育するときのサーモスタット付きのヒーター。
設定気温より下がるとヒーターのスイッチがオンになるものです。
ところがこのセンターは、「逆サーモ」と呼ばれるタイプ。
設定気温を上回るとスイッチが入って、下回るとオフになるひねくれ者です。
一般には気温が高くなって観賞魚の水温が上昇したときに
水槽に取り付けたファンを回して冷やし、
設定温度まで冷えたときはオフにして冷やしすぎを防ぐのに用います。
実はこの逆サーモ、かつてのフローラの財産です。
環境システム科1回生であるフローラ7は、サンパチェンスを用いた水質浄化システム
「バイオエンジン」の技術開発に成功しました。2回生であるフローラ8は
サンパチェンスで室内のホルムアルデヒドを吸収する「バイオクリーナー」を開発。
どちらも高く評価されました。そこで3回生であるフローラ9は次なる目標として
サンパチェンスを使った「バイオクーラー」を開発しようとしていました。
この逆サーモはその実証試験のため用意されたもの。
しかし農クの大会に出場することになり急遽方向転換。
バイオエンジンの改良に取り組み、2つの微生物を導入したTYPE3を開発し、
その後、4回生のフローラ10が世界で活躍しました。
つまりこの装置はフローラ9のやり残しなのです。現在のハンターズは5回生。
来春解散のため、残っている宿題を片付けられるのは2020年だけ。
やることがたくさん出て来ました。みなさんは休校中の宿題をちゃんと終えましたか?
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フキの思い出

2020年03月30日 | 学校
新型コロナウイルスの影響でバタバタの卒業式、さらに入学試験と
落ち着かない毎日がもう1ケ月にもなろうとしています。
先日、温室の方に行ってみると足元に緑色のフキノトウの蕾が顔を出していました。
知らないうちに春が名農キャンパスに来ていました。
さてフキノトウはフキの蕾で、食べることもできますが苦いのが特徴。
したがって一般的にはもう少し待って出てくる葉の葉柄部分を食べます。
しかし独特の香りが強いうえ、シュウ酸が多いので生では食べません。
もっぱら水煮してアクをとってからということになります。
今から何年前でしょう、フローラのある男子メンバーが
一人で黙々とこのフキについて研究したことがあります。
目的は生食できるフキの栽培技術の開発。
遮光してシュウ酸の生成を抑制し、生でも食べられるようにしたいと取り組みました。
2年間取り組んだ結果、もみがらやオガクズで葉の付け根までしっかりと遮光すると
香りとアクが抑えられ、なんとウドのように生で食べられることを発見しました。
分析の結果、シュウ酸は生食するトマトよりも減っているのです。
彼はこれを「サラダフキ」と名付け、軽く水洗いしてドレッシングで食べさせてくれました。
すると今までにないシャキシャキした食感がみなさんが評価され、本人も大満足。
その勢いで植物学会で発表し、フキの遮光とシュウ酸の研究は入賞したはずです。
さらに京都大学で開催されたテクノ愛でもグランプリを受賞。
これには他のメンバーもびっくり。そして大喜びした記憶があります。
春が来てフキノトウを見ると、いつも思い出されます。


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雷神風神

2020年03月29日 | 環境システム科
青森県で初めて誕生した農工を融合した学科「環境システム科」。
工業系では電気についても詳しく学び、在学中に電気工事士の資格取得もできます。
しかしこのような学習をするのは工業高校というイメージがあるため
環境システム科の中学生における知名度は残念ながら低いのが現状です。
そこで中学生に名久井農業高校でも電気の学習をしていることを知ってもらうため
新設から数年間、中学生対象の風力発電コンペを開催していました。
この風力発電キットはその時に使ったもの。
コンペは2つの視点からそれぞれのチャンピオンを決定しますが、それがユニーク。
ひとつは規定時間内の中での最大瞬間発電量。
参加した中学生は、このキットの羽根の大きさやピッチを自由に変えてチャレンジします。
そしてもっとも高い発電量を記録したチームが優勝者で、雷神賞が授与されました。
もうひとつは発電開始までの時間。つまり早く回り出し発電を開始したチームが優勝で
こちらは風神賞を授与しました。また中学生だけだと盛り上がらないので、
環境システム科の3年生も数名一組のチームを作り、全員参戦していました。
発電量や発電までの時間は会場に設置された大きなスクリーンに
リアルタイムでグラフとして表示されるので誰でもわかります。
したがって会場は大騒ぎしながら、楽しく盛り上がったものです。
この企画は夏休み、体験入学とは別に行われ
他学科とともに10種類ぐらいのコースを設定し、1日かけて行っていました。
遠くは岩手県や青森市からも参加してくれたのを覚えています。
実はこのイベントの企画運営をしていたのが、なんとチームフローラフォトニクスでした。
嬉しいことにフローラ解散の2年ほど前、高校生が企画運営する優れた教育活動として
教育甲子園ともいわれる時事通信社教育奨励賞をいただきました。
校長先生が受賞する名誉ある授与式ですが、名農はフローラの代表も参加させ
新聞社や文科省の皆さんから盛大に祝っていただいたのを覚えています。
この企画、フローラ結成時から8年間行いましたが、残念ながらフローラは解散。
それとともにこの企画は消えてしまいましたが、いつか新しいアイデアで
地域の子供達に農業高校を理解してもらう活動を再開してもらえれば嬉しいと思います。
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