花のたより☆山のふみ ~青森県立名久井農業高等学校~

青森県の小さな学校「名久井農業高校」の美しい自然と植物研究グループ「チームフローラフォトニクス」の取組みを紹介します!

食用菊の漬物

2019年01月05日 | 
北国では保存食である漬物が発達しています。
名久井農業高校のある
南部町でも特産の食用菊を使った漬物「菊巻き」があります。
姿が巻き寿司みたいなので「菊寿司」という人もいます。
一般に食用菊はむしった花びらを円形に敷き詰めて蒸した菊海苔に加工します。
これを味噌汁に浮かべたり、和え物に加えて利用するのですが
このように漬物を巻くこともあります。
中に入っているのは大根の漬物。
巻いた状態でつけ汁につけるので菊はしっとり、
そして大根はシャキシャキとした食感で
なかなか美味しいものです。
また新鮮な緑が不足しがちな冬の食卓を鮮やかな黄色で
彩ってくれるのでとても華やかになります。
この地域ではこの時期になると地元のスーパーマーケットでも
手に入れることができる定番の郷土料理です。
この地域なら菊海苔は簡単に手に入るので
ぜひ作ってみてください。
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神々の年取り

2018年12月27日 | 
ツバキが花芽をつけています。
さて前任校で女子生徒に先人の暮らしとそれによって生まれた郷土料理を
体験的に教える「食農科学」という科目を20年前立ち上げたことがあります。
昭和初期の農業を再現しながら実際に食材を栽培し
地域のおばあさんたちから郷土料理を本格的に学ぶ授業は
教える側も教わる側もそれはとても楽しいものでした。
最後におばあさんたちを招き、教わった郷土料理でもてなす披露宴は盛大で
全国版の雑誌にも何度か紹介されました。
その授業のクライマックスがこの12月の年取り行事です。
みなさんはこんなことをご存知ですか。
12月31日、つまり大晦日は年越しの日です。
私たちの住む地方では年越しではなく年取りといいますが
どちらにしてもこの日は私たち人間の年越しで、会食をしてお祝いします。
ところが神様を差し置いて、人間が先に年越しするわけにはいきません。
何でも神様が先であり、人間はその後という風習があるからです。
そこで青森県の南部地方では12月に入るとまず神様の年取りが始まります。
例えば、一日は神明様、三日が稲荷様、五日が恵比寿様、七日が天王様、
八日が薬師様、九日が大黒様、十二日が山の神様、十三日が虚空蔵様、
十五日が三岳神社、十六日が農神様、二十三日が子安様、
二十五日が天神様、二十八日が不動様の年取りです。
主にしとぎ(県南なので豆しとぎ)や料理をお供えしますが
神様によってはなべこだんごなど特別料理を供えることもありました。
そして一番最後に人が年取りをして、初めて新しい歳神様を迎えことができるのです。
このように先人は12月になると毎日のように年取り行事に追われ、
特に食事を作るご婦人たちは本当に忙しかったといいます。
青森は田舎とはいえ、おじいさんやおばあさんと一緒に暮らす家庭は減っており
このような文化はもう伝わらなくなりました。
農や神様が一緒にある暮らし。
物が豊富で人々の関係が希薄になってきた今だからこそ、
もう一度やってみたい科目です。
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シュトーレン

2018年12月22日 | 
まもなくクリスマス。
みなさんはもうケーキを準備されましたか?
最近、日本でも食べられるようになったものにシュトーレン( Stollen)があります。
実際はドイツ生まれのパンなのですが、ずっしりと重くびっくりします。
なぜなら中に洋酒に漬けたドライフルーツやナッツがびっしり。
さらにバターと洋酒もたっぷり染み込ませているからです。
そして面白いのは1ケ月も日持ちすること。
表面にかけられたたっぷりの砂糖の効果です。
ドイツでは小麦粉に対してバターは30%以上、
ドライフルーツは60%以上入れるという基準まであるそうです。
また本場ドイツではクリスマスの1か月前から、
シュトーレンを薄く切って食べながらクリスマスを待つそうで
ヨーロッパの方にとって子供の時代の楽しい思い出となっているのではないでしょうか。
さて日本ではこの時期、パン屋さんやケーキ屋さんで手に入ります。
パンと思うとちょっとお高いのですが
ずっしりとした重さを感じれば納得するはず。
まだ手に入ると思いますので見つけてみてください。
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久慈良餅

2018年12月16日 | 
あんこ色したお餅。これが青森県の久慈良餅(くじらもち)です。
米粉に餡と砂糖を入れて蒸したお餅でクルミがトッピングされています。
優しい甘さとモチモチした食感が人気で
青森県では昔から販売されていましたが
今では数店しかない絶滅危惧種となりました。
山形県にも同じ「くじら餅」という郷土料理があります。
江戸時代に兵糧として新庄で誕生したもので
こちらは醤油も入ってちょっと甘塩っぱいようです。
日持ちが良いことから漢字では久持良餅と書き
山形の雛祭りには欠かせないそうです。
そのあたりが青森県とはちょっと違います。
共通するのはどちらも鯨は入っていないところ。
餅自体が大きいので鯨とついたのではという資料もありますが
よくわからないのが本当のところのようです。
調べてみると全国でも山形と青森だけにしかありません。
山形から伝来したものなのか、独自に生まれたものか。
それにしてもよく似ているので謎は深まるばかりです。
さて今から20年ほど前、青森県で農業クラブ全国大会が開催されました。
当時、全国大会事務局を務めていた際、この久慈良餅にはお世話になりました。
青森の浅虫地区に宿泊された県外の皆さんにこのお餅をお土産にしてもらいたく、
お店に出向いて割引のお願いをしたことがあります。
条件は農業クラブの機関紙「リーダーシップ」を見せること。
お店の皆さんが快く協力してくださったのを今でも覚えています。
久慈良餅は青森県の郷土料理ではありませんが、代表的な青森県のお菓子。
青森に来県された際はぜひ食べてみてください。
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豆しとぎ ?

2018年12月15日 | 
青森県南部地方の郷土料理に「豆しとぎ」があります。
しとぎ(粢/糈)とは神様に備えるお餅をいい、日本全国にあります。
お餅なのでも、ちろん米粉が材料の晴れ食です。
しかし同じ青森県でも地域によってしとぎ餅の姿は違ってきます。
日本海側の津軽地方では餡が入った白いお餅をしとぎ餅といいますが
太平洋側の南部地方ではこの緑色の豆しとぎへと変わります。
これは荒く砕いた青大豆と米粉を混ぜて成形したもの。
本来ならば100%お米で作るべきですが、
冷害に苦しんできた先人は貴重なお米に
大豆を混ぜることで増量したのです。
したがってうっすら緑色しています。
また大豆ではなく黒豆を入れたものは灰色になります。
さてこの豆しとぎ、先人は12月12日(旧暦)の
山の神様と農神様の年取り(年越し)にお供えしました。
今でこそお土産屋さんで年中手に入りますが、
昭和初期頃までは晴れの日でなければ食べられない貴重な食べ物だったのです。
そんな豆しとぎ、このまま食べることもできますが
生米なので、食べ過ぎるとお腹を壊すかもしれません。
ぜひ焼いて食べてみてください。
香ばしくて豆の風味も感じられ美味しいものです。
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