ウヰスキーのある風景

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墓参

2010-05-19 | 雑記
自宅からそれほど離れてない場所に、大正、昭和両天皇の墓がある。
天皇の墓は陵と呼ばれるもので、古墳時代のばかでかいものを想像しそうになった。

そのばかでかい古墳の中には、学術的に精査されていないため、埋葬されている天皇が違うのでは、
といわれているものもあるそうだ。その話は手に余るので、ここではやらない。

さて、朝まで「明日、天皇の墓参り行くんだ」と酒飲みながら話していたら、さっさと寝ろといわれる。
しきりに「墓参りいくんだろう?」といわれたので、冗談ではないことを信じてくれたようだが、
お互いそんな話をしていた時間が冗談じみていたのは言うまでもない。午前五時。

昼まで横になろう、そう思い目を閉じた。意識がはっきりしなかったころ、急に覚醒する。
午前九時。もういいだろうと思い、シャワーを浴び、仕事の時以外では滅多に剃らない髭をを剃る。

喪服でも着ていくか、などと考えたが、余りにも堅苦しい。命日でも特別な日でもないのだから。

茶を飲んで出発する。およそ午前十時半を過ぎたころだった。雨が降りそうだったので傘を持った。

近隣の案内地図を見て、おそらくこっちだろうと歩き出した。間違いはなかったのだが、
途中の方向を示す奴を見て混乱した。二箇所指し示している。帰り道になってわかったが
片方は駅にあった案内などにもあった最短距離を示したものだったようだ。
最短距離はまっすぐ、もう一方は右を指している。右は住宅街だった。

しばし考えた後、住宅街をすすむ。なんだか雰囲気が違うからだ。

舗装はアスファルトではなく、石を敷き詰めた感じにされている。でこぼこではない。
歩いたのは右側で、そちらにしかなかったのかはっきりしないが、小川のような水路がある。
家々の入り口には橋をかけてある。旧家風の門構え等を見ると、京都にでもありそうな雰囲気だった。

しかし、一向に入り口は見えてこない。そしてまた街道に出た。その看板を見るとこの先1.1kmらしい。

先ほどの二股矢印では700mとあったのだが、不思議なこともあるものだ。

ともかく、これで迷うことはなかろうと思い、これまた旧家風の佇まいの寿司屋のランチを横目に歩く。

途中、交差点に出る。左は雰囲気が違った。そもそも大きな木の並木道が続いている。
住宅街を歩いているとき、家々の屋根の上から見えていた緑はこれだったかと判明した。

案内を見ると、この道を道なりに進めばいいらしい。ようやく目的地だ。

ケヤキの並木道は薄暗く、夏でも涼しくなりそうな気配だった。沿道には楓も植えられている。
新緑がまぶしく、初夏の雰囲気が清清しい。季節ごとに違う顔が見られるだろう。

橋を渡り、緩やかな曲線を描ききったころ、道がまっすぐとなる。視線の行き止まりに門が見えた。

入り口の手水で手を清め、中に入ろうとすると、職員が玉砂利をじゃりじゃり(冗談じゃない)している。

門は開いてるし立ち入り禁止でもなかったが気になったので声をかける。ご自由にどうぞとのことだ。

玉砂利が敷き詰めらた参道はの脇は、杉並木になっている。行きは職員が沢山いたのと
初めて歩く場所、そして歩きにくい玉砂利のせいであまり見てなかったのだが、
帰りに見ると、杉の枝は参道が側を残して、裏側は切り落とされている。
杉が鬱蒼と茂っているように見えて、それほど暗く見えなかったのはこういう仕組みだったようだ。

さて、昭和天皇の御陵、「武藏野陵(むさしののみささぎ)」に着いた。しかし、職員だらけだ。

墓参りなのだ、手を合わせて当然だ、などと妙な言い訳を自身に言い聞かせながら手を合わせる。

正直言ってやることはこれだけ。昭和天皇の御陵の形式は「上円下方」という。
丸い石をドーム上に配した「上円」で、下のほうは四角の「下方」となっている。

東側は香淳皇后の御陵、「武藏野東陵」となる。こちらにも出向き手を合わせる。

振り返って戻る際、スーツを着た30代程度の男性とすれ違う。一人で何も持たずに香淳皇后の方へ向かった。


次は大正天皇の御陵、「多摩陵(たまのみささぎ)」へ向かう。道順としては先に貞明皇后の陵が先にあった。

昭和天皇と香淳皇后の陵と違ったのは、少し高い。前者は奥行きがあったせいで低く見えたのだろうが
昭和天皇のは特に高く、一般が近づける一番近い場所に同じように立って見たが、昭和天皇のほうは
御陵のドームまで隠れてしまうほど高い階段の先にあった。ちなみに、階段は一般は上れない。


実に静かな雰囲気とさわやかな空気、職員がちゃんと手入れをしている御陵は、都内とは
隔絶された空気を感じる。遠く電車が走る音は聞こえるのだが、聞こうとしてやっと聞こえるほど。
玉砂利はちょっと歩きづらいが、舗装された道では台無しだな、と感じた。
参道の一部は玉砂利のない平坦な道もあるが、入り口の注意書きにあるように、車椅子の人は注意とのこと。

激動の時代を生きた天皇が眠る場所を、酔っ払いが邪魔しに行くのはちょっと不敬だが(別に騒いでない)
時折、そっと手を合わせにやってこようと考えた。では、また。






※追記と訂正
参道の並木を松、と書いてしまったけど、杉だそうな。八王子観光ガイドのサイトにそうあった。
書き直しのついでに、動画も掲載。

二十七日目


次回予告が次のパートを映している通り、次回予定分を撮影してから取り掛かった。
けども、いつもより喋らなかったり解説しなかったりなので、やり直すかもしれない。
ま、なんやかんやでそのまま出してそうだけど。あまり期待してる人は多くなかろうが、期待しないように。

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