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無為

2010-06-14 | 雑記
三国志の有名な逸話に「泣いて馬謖を斬る」というのがある。

軍律を破り、その上重要な戦いに惨敗してきたため、有為の人材だが、泣く泣く孔明は処刑したという。
ちなみに、この記述は歴史書の「三国志」にあり、上述の、「辛いが仕方ない」という
孔明のつらさや、規律を守ることの大切さを云々する話として現代も一般的に使われる。

だが、吉川英治も下敷きにした、小説としての「三国志演技」では違う話が記述されている。

正史のほうで孔明が泣いたのは、馬謖を斬るのがつらくて泣いていた、というのだが、
実は、自分がバカだったのでそれを思うと情けなくて泣いていた、という。

劉備が生前、孔明に馬謖のことでこう語っていたそうだ。
「あいつはうわべを飾るだけで中身が伴っていない。重用してはならぬ。」

しかし、孔明はその言葉に耳を傾けず、そして「泣いて斬る」羽目になった。

殿の言っていたことをちゃんと聞いていればよかった、自分のバカさが加減が情けない、と。


そしてここにも「馬謖」が一人いる。比べるのもおこがましい無為な存在ではあるが。


「うわべを飾るだけで中身が伴っていない」奴なのだ、ああなって当然だ。
我が身の不明を嘆じつつ斬ってくれて結構。では、さようなら。

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