ウヰスキーのある風景

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篭城戦のサボタージュ

2012-09-02 | 雑記
ラヂヲはこれから遅い盆休みだー、などと書いて、気がつけばもう九月。サボりすぎた。

ちなみに余談だが、サボるの元になった言葉はサボタージュ。フランス語だという。

労働者がチンアゲしてくれーだとかで、当時の靴(木靴=サボ)で工場の機械を蹴って壊(タージュし)、能率を下げて抗議したと言われている。

はて。わしはナニを抗議していたんだろうか?現代日本語での用法としては、「怠ける」になっているので、別に抗議はないが、抗議なら受け入れよう!


しばらくぶりに書いてみたらよくわからなくなってきたので、ちょっと前の話でも振りかえろうかと考えている。


八月は特に休みを申してなかったのだが、ちと連休があった。


それを利用して、ちょっとお出かけをしてきたりしたわけだ。しかも三泊も。


そこで『回想の野口晴哉』という本を読んでいた。しかも読み上げてしまった。持っていたならまだしも、見せてもらった本である。これこそサボタージュな気がしないでもないが、わしはナニも抗議は(以下略)


面白く、また野口晴哉師の人となりを窺い知れそうな話をしよう。



幼少の頃は、かなり苦労したそうだ。実家とも決して仲良くはなかったようである。ちなみに関係ない話だが、わしは家族を一方的に嫌っているだけであり、親はこちらを嫌っているというわけではないようだが、特に兄貴は相容れないと感じている。


若くして道場を持っていたころの話だったと思う。

会いたくない人には決して会おうとしなかったりする。会おうとする人にも、すぐに会う、ということもなかったそうな。


で、その会いたくない人がやってきて、玄関で訪ねるわけだ。「先生はいらっしゃいますか」と。

そうすると野口師本人がやってきて、こう曰まう「先生は留守です」。

「いらっしゃるじゃないですか」と返せば、

「いや、当人がいうんだから間違いない」と言ったという。

また、これは晩年の方だったと思うが、似たような話もある。


「先生に是非相談したいことが」という風に、来客があった。

すると先生、本を持って便所に篭ってしまう。ここで「早く出てくれ」といえば余計に出なくなる。いや、本人の話である。

かくして、篭城は幾時間を費やし、気焔万丈!と出てくれば、来客はそれまでに「先生はお忙しいようですので、本日はこれで」と退却していたそうな。

「人の休日の時にその時間を割いて話を聞いてもらおうと言うのに途中で帰るというのだから、その程度の話なんだ」という風なことを、奥さんが詰ったら答えたという。


別に、野口晴哉は怠けているわけではないのである。

治療したり整体指導するにも、人と会って話をするにも、常に全霊を込めて相対しようと心かげているのだそうな。

だから、休日なんかに急に会いに行ったら、篭城されるわけである。されると決まったもんではなかろうが。


常識的に言えば、失礼極まりないと思われよう。だが常識こそ、お互いのうちに押し付けられたレールのようなものであり、そのような「レール上で自動的に」相対することなんぞ、ベルトコンベアで作られた食べ物とさして変わらない。そして、そんなものを「きっちりしている」だとか「美味い」だとか言い合っているのだ。ベルトコンベアの食い物が美味いと言っている奴がどれほどいるかしらんが。


常に全霊を込めて。野口整体が常々言う、「己の裡にあるもの」というわけだ。


よし、見習おう。と考えたかは定かではないが、ラヂヲも全霊を込めようと唸っていたら、半月以上サボタージュしてしまった。


まだまだ全霊を込められていないようなので、もうしばらく篭城してからになるであろう。お楽しみにされている方は、これまた全霊を込めて、次のラヂヲが出てきた後一週間ぐらいしてからご覧下さい。

もしくは暇つぶしにブログでも振り返る、という手もあるが、これまた全霊を込めてからでどうぞ。込めていたら読むのを忘れていた、でも構わない。


さて、今日はここまでにするが、たまには昔を思い出して、次回は何やら飲んできた話でも書こうかと考えている。ラヂヲに回す手もあるが、そうすると何のラヂヲか思い出せなくなりそうなので、未定である。では、また。