環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

あの時の決定が日本の「地球温暖化対策」を悪化させた

2007-02-26 22:34:20 | 温暖化/オゾン層
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日本の企業は環境問題という現実に直面し、しかも、なお、「従来型の経済の持続的拡大」のために、日本型経営の維持と再構築の間で苦悩しているのが現状です。大量生産・大量消費・大量廃棄に特徴づけられる「直線的な20世紀型の経済の持続的拡大」と「21世紀型の持続可能な社会」は方向性が正反対だからです。

私たちは口では「環境保全」だの「循環型社会」や「持続可能な社会」などと言いながら、目の前の生活防衛のために、国も、自治体も、企業も、環境へ多少の配慮をしつつも、言葉とは正反対の行動に向けた政策を策定し、予算をつけ、既存の組織の拡大に全力を傾けていると言っても過言ではないでしょう。

今回は日本の地球温暖化対策がなぜこうも実効性がないのかを考えてみましょう。私はそのルーツは縦割り行政による「16年前の考え方」にあると思います。つぎの3つの新聞記事をご覧下さい。

1990年10月12日の毎日新聞の記事は「国の地球温暖化防止に関する方針」を決める段階での関係省庁の考えを報じたものです。表題に

総排出量は規制外
通産省方針 経済活動を拘束

とはっきり書いてあります。


そして、記事の中には

②一人当たりCO2排出量などを対象とし、CO2総排出量に規制の網をかぶせない方向で関係省庁に働きかける

と書いてあります。

この時の縦割り行政の決定がその後の日本の地球温暖化対策の方向を誤らせ、その解決を困難に導いているのです。そして、その対立は今なお引き続いているように見えます。

2つ目は日本政府の「温暖化対策新大綱」の見直し作業について報じる2004年6月1日の朝日新聞の記事に添えられた大変分かり易い図です。

記事は「ガス削減議論足踏み」という大きな見出しを掲げて、「8審議会、調整がカギ」と書いています。8つの審議会の背景には、内閣府、国土交通省、環境省、経済産業省、農水省、総務省のそれぞれの思惑がからんでおり、「京都議定書」の否定論まで取り沙汰されているそうです。
 
8つの審議会の調整がむずかしいのは、行政の縦割構造の問題だけでなく、8つの審議会やそれらの審議会を構成している委員の間に、温暖化問題に対する基本的な共通認識が不十分なために足踏み状態が続いているのだと思います。

このような行政的な整合性の無さを見せつけられると、私には、つぎの記事は当時の環境庁長官の本音が示されているように思えます。

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