環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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2008年の温室効果ガス排出量:スウェーデンは90年比11.7%減、日本は7.4%増(CO2)+α

2009-12-19 20:18:48 | 温暖化/オゾン層
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まず、次の図をご覧下さい。



この図はちょうど1ヶ月前の11月19日のブログ「気候変動、もう一つの視点」(ここをクリック)のトップに掲げた「過去36年間のCO2排出量の推移の比較 1971-2007」の図(5年ごとに排出量をプロット)をさらに細かく見るために、年ごとのCO2排出量に加えてGDPをプロットし、京都議定書の基準年をそれぞれ100としてそれぞれの指標の増減を比較しやすいようにあらわしたものです。このグラフの作成に用いたデータは、エネルギーの専門家であれば誰でもご存じの国際エネルギー機関(IEA)が公表した報告「CO2 Emissions from Fuel Combustion Highlights 2009 Editon」から抜粋したものです。

スウェーデン環境省は12月15日、「Swedish greenhouse gas emissions at record low in 2008」と題するプレスリリースを出しました。プレスリリースによれば、スウェーデンは温室ガス排出量の削減を続けており、2008年には記録的な削減に達し、1990年比で220万トン、ほぼ12%の削減となったそうです。

このプレスリリースに合わせて、スウェーデン環境保護庁は同日、次のような図を公表しています。この図は京都議定書の基準年である1990年から2008年までの18年間のスウェーデンの温室効果ガスの内訳を示しています。温室効果ガス排出量の80%がCO2の排出量です。



二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素およびフッ化ガス(HFC,PFCおよびSF6)の温室効果ガスの排出量は変動しています。1990年以降の傾向は、二酸化炭素、メタンおよび亜酸化窒素は減少し、フッ化ガスは増加しています。

   ★二酸化炭素(CO2)は化石燃料の燃焼によって放出され、温室効果ガスの総排出量の80%を占めています。

   ★亜酸化窒素は農業、廃棄物および産業工程から放出され、温室効果ガスの総排出量の およそ11%を占めています。

   ★メタンは主に農業と埋め立てから放出され、温室効果ガスの総排出量の およそ8%を占めています。

   ★フッ化ガス(HFC、PFCおよびSF6)は産業工程からのみ放出され、温室効果ガスの総排出量の2%を占めています。


次の2つの図は日本の2007年度の温室効果ガスの排出量(CO2換算、環境省まとめ)および2008年度の「化石燃料を燃やしたときに出るエネルギー起源の排出量」 (CO2換算、経済産業省発表)です。日本の場合には、温室効果ガスの90%がCO2です。2007年度の温室効果ガスは過去最高の排出量を記録しました。





2007年度は「温室効果ガス」の総排出量ですが、2008年度は「CO2」の排出量となっておりますので、2008年度の最終的な温室効果ガスの総排出量(CO2+α)はさらに増えるはずです。この時点ではα分が未だ公表されていないからです。

これらの図はスウェーデンと日本の気候変動問題への対応の相違が結果としてはっきりあらわれたものです。正反対の結果が出ています。



上の図で注目してほしいのは、図の最後の注釈です。 日本はエネルギー分野は±0%、スウェーデンはエネルギー分野での削減をめざす」とあります。CO2の排出量を削減しなければいけないのであれば、温室効果ガスの90%(日本の場合)、同じく80%(スウェーデン場合)を占めるCO2の最大の排出源であるエネルギー分野に踏み込まなければならないことは自明の理ではないのでしょうか。

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●PDF 日本の温暖化対策 もう一つの視点(広領域教育 2009年11月号)

京都議定書の基準年である1990年以降、温室効果ガスの排出量を削減しつつあるスウェーデンの2020年の中期目標が 「90年比40%減」(ここをクリック)であるのに対し、温室効果ガス排出量を増加しつつある日本の2020年の中期目標は「90年比25%減」です。




スウェーデンが国際社会で「プラグラマティズム」の国、あるいは「リアリズム」の国、つまり「理想主義」の国ではなく、「現実主義の国」と理解されているのに対し、日本は「現状追認主義の国」だと言ってよいでしょう。

  

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