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混迷する日本⑩ 世界初の「温暖化防止法」、今月中にも成立! でも、10年前の話

2008-01-24 09:11:16 | 温暖化/オゾン層
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一昨日、今月18日に行われた福田首相の施政方針演説で、「持続可能社会」という21世紀のキーワードが消え、代わって「低炭素社会」というまだ十分な概念が確立していない輸入概念(?)が登場したことを紹介しました。そして、昨日は環境省が「地球温暖化防止対策推進法」の改正案を自民党に提出した、というニュースをとりあげました。

今日は、なんと、10年前に、つまり、京都議定書の成立した翌年に、この国に世界初の「地球温暖化対策推進法」ができたというお話です。まずは次の記事をじっくりとご覧ください。


この記事をどう読むかは皆さんにお任せしますが、30年以上日本の環境政策をフォローしてきた私にとって、「この国はほとんど30年前の発想と変わらない」ということです。この記事の中に「・・・・・・調整は難航したが、自民党としてCOP4にぎりぎりのタイミングで成立させたいとの思惑から修正案をのんだ格好だ。」という記述がありますが、「COP4」を「7月の洞爺湖サミット」に置き換えれば、今の状況は10年前とほとんど同じだといってもよいのではないでしょうか。

この記事には、日本の政治、行政、マスメディア、審議会、企業など立法にかかわる「プレーヤー(アクター)の役割」「予想される結末」が見事に凝縮されています。

地球温暖化対策推進法は、京都議定書が成立した翌年の98年に成立し、99年4月1日施行、2006年4月に改正され、再び、今国会で改正されることになっています。日本の法律の改正の仕方は、最初に不十分な(あまり実効性が期待されない)法律を作り、それを時間の経過に合わせて徐々に「規制の対象」を広げていく(改正)という方法です。したがって、その間に「新しい被害者」「余分な経費」を増加させる特徴を持っています。まさに、「治療志向」の発想です。次の関連記事を参照してください。

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なぜ先駆的な試みを実施し、世界に発信できるのだろう⑫ プライバシーの保護(07-09-03)


昨日紹介した改正を伝える記事の最後の部分に「京都議定書に義務付けられた90年度比6%削減の達成を確実にさせる狙いがある」と書いてあります。「一歩前進」という言葉とともに、「抜本的○○」という正反対の言葉が大好きな(でも、行動に移すことはほとんどない)国民として、ここは、 「抜本的に」にいかなければならないのではないでしょうか。


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現状は、世界初の「地球温暖化対策推進法」が日本で成立し、施行された10年前よりも明らかに厳しい状況にあります。対策に必要なコストも10年前に比べて明らかに増えています。私の環境論の根底にある「今日の決断が原則的に将来を決める」という経験則を今こそ真剣に考え、文字どおり抜本的な改正をしなければなりません。

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私の環境論:今日の決断が将来を原則的に決める(08-01-17)


余談

 ● 地球温暖化対策推進法の制定に当たって(平成10年10月6日 真鍋大臣談話) 

1.地球温暖化対策推進法案は、去る10月2日の参議院本会議で可決され、10月9日に公布される運びとなった。本法は、昨年末のCOP3での京都議定書の採択を受け、まず、第一歩として、国、地方公共団体、事業者、国民が一体となって地球温暖化対策に取組むための枠組みを定めたものである。

2.これは、地球温暖化防止を目的とする世界最初の法律であり、COP3議長国として地球温暖化対策に積極的に取り組む我が国の姿勢を世界に示すことができるものと考える。  

3.本法の全面的な施行は、半年後に予定されるが、環境庁としては、早速、「基本方針」の策定等の法律に基づく措置の準備を開始することとしている。  

4.私としては、全体の温室効果ガスの排出量の約8割は事業者関連であることから、広範な事業者の取組を促すため、事業者との積極的な対話を私自身がトップ同士で進めていきたい。また、NGO・ボランティア、企業、地方公共団体などの有意義な温暖化防止の活動について大臣表彰をしたいと考えている。  

5.さらに、早期に京都議定書を発効させるため、11月のCOP4が大きな前進となるよう全力を尽くすとともに、京都議定書の批准に際しての総合的な国内制度構築の諸準備に万全を期していきたい。



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