私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック 持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>のブログは、ここをクリック
アーカイブ(公開論文集)
前回のブログ「日本の社会を構成する『主なプレーヤー』の問題点(3)」に対して、読者の方から次のような質問をいただきました。
>縦割り行政を変えることが構造改革の第一歩であると先生は主張されていますが、マスコミなどを見ていても、それほど問題にされていないように見えます。僕自身もあまりその問題性がピンとこないのですが、理解を深められるようなポイントを教えていただきたいのですが。
私は20年以上前から、スウェーデン(政治主導の議会制民主主義)と日本(官僚主導の議会制民主主義?)の行政組織に基づく「国家の意思決定の相違」を指摘してきました。スウェーデンは「国家目標や重要な政策の達成のために各省庁をはじめとする行政組織をいとも簡単に政治的に統廃合や新設、改編を行いますが、日本では大変な困難を伴います。たとえば、このブログ内では、次の関連記事をご覧ください。
関連記事
「環境省」から「持続可能な開発省」へ、そして2年後、再び「環境省」へ(2007-01-08)
環境基本法成立から14年 不十分なので、このままでは私は反対だ!(2007-12-07)
次の2つの図を比較検討してみてください。最初の図は前回のブログで掲載したものですが、再掲します。
そして次の図をご覧ください。
2004年6月1日付の朝日新聞は、「ガス削減議論足踏み」という大きな見出しを掲げて、「8審議会、調整がカギ」と報じています。8つの審議会の背景には、内閣府、国土交通省、環境省、経済産業省、農水省、総務省のそれぞれの思惑がからんでおり、「京都議定書」の否定論まで取り沙汰されているそうです。そして、京都議定書から10年以上たった現在、実態は悪化することはあっても、一向に改善の方向に向かってはいません。
これらの状況はかねてより多くの人が指摘しつづけ、私も「 環境基本法案等に関する衆議院環境委員会公聴会(中央公聴会)」で指摘した「行政の縦割構造」の結果ではないでしょうか。
8つの審議会の調整がむずかしいのは、「行政の縦割構造」の問題に加えて、8つの審議会やそれらの審議会を構成している委員の間に、温暖化問題に対する基本的な共通認識が不十分なために足踏み状態が続いているのだと思います。
「行政の縦割構造」は、20世紀のように、環境問題を想定していなかった「経済の持続的拡大」という国家目標のもとでは、たいへん有効に機能してきましたが、21世紀のように経済の方向を「拡大」から「適正化」へ向けて転換をせざるおえない状況では、ことごとく足かせとなります。
この伝統的な「行政の縦割り構造」をそのままにして、いくら新しい政策を策定しても実効性が伴わないことは明らかでしょう。総ての現象はそれぞれにつながっているからです。それゆえに、構造改革の第一歩は「行政の縦割り構造」を変えることだと私は思います。
そして、「行政の縦割り構造」の弊害は
①国としての合意形成が十分にできないこと。
このブログでも再三取り上げてきた環境分野における経産省と環境省の対立などはその具体的な実例です。
②難しい案件の「先延ばし(先送り)」と「骨抜き」
という形で顕在化してきます。
アーカイブ(公開論文集)
前回のブログ「日本の社会を構成する『主なプレーヤー』の問題点(3)」に対して、読者の方から次のような質問をいただきました。
>縦割り行政を変えることが構造改革の第一歩であると先生は主張されていますが、マスコミなどを見ていても、それほど問題にされていないように見えます。僕自身もあまりその問題性がピンとこないのですが、理解を深められるようなポイントを教えていただきたいのですが。
私は20年以上前から、スウェーデン(政治主導の議会制民主主義)と日本(官僚主導の議会制民主主義?)の行政組織に基づく「国家の意思決定の相違」を指摘してきました。スウェーデンは「国家目標や重要な政策の達成のために各省庁をはじめとする行政組織をいとも簡単に政治的に統廃合や新設、改編を行いますが、日本では大変な困難を伴います。たとえば、このブログ内では、次の関連記事をご覧ください。
関連記事
「環境省」から「持続可能な開発省」へ、そして2年後、再び「環境省」へ(2007-01-08)
環境基本法成立から14年 不十分なので、このままでは私は反対だ!(2007-12-07)
次の2つの図を比較検討してみてください。最初の図は前回のブログで掲載したものですが、再掲します。
そして次の図をご覧ください。
2004年6月1日付の朝日新聞は、「ガス削減議論足踏み」という大きな見出しを掲げて、「8審議会、調整がカギ」と報じています。8つの審議会の背景には、内閣府、国土交通省、環境省、経済産業省、農水省、総務省のそれぞれの思惑がからんでおり、「京都議定書」の否定論まで取り沙汰されているそうです。そして、京都議定書から10年以上たった現在、実態は悪化することはあっても、一向に改善の方向に向かってはいません。
これらの状況はかねてより多くの人が指摘しつづけ、私も「 環境基本法案等に関する衆議院環境委員会公聴会(中央公聴会)」で指摘した「行政の縦割構造」の結果ではないでしょうか。
8つの審議会の調整がむずかしいのは、「行政の縦割構造」の問題に加えて、8つの審議会やそれらの審議会を構成している委員の間に、温暖化問題に対する基本的な共通認識が不十分なために足踏み状態が続いているのだと思います。
「行政の縦割構造」は、20世紀のように、環境問題を想定していなかった「経済の持続的拡大」という国家目標のもとでは、たいへん有効に機能してきましたが、21世紀のように経済の方向を「拡大」から「適正化」へ向けて転換をせざるおえない状況では、ことごとく足かせとなります。
この伝統的な「行政の縦割り構造」をそのままにして、いくら新しい政策を策定しても実効性が伴わないことは明らかでしょう。総ての現象はそれぞれにつながっているからです。それゆえに、構造改革の第一歩は「行政の縦割り構造」を変えることだと私は思います。
そして、「行政の縦割り構造」の弊害は
①国としての合意形成が十分にできないこと。
このブログでも再三取り上げてきた環境分野における経産省と環境省の対立などはその具体的な実例です。
②難しい案件の「先延ばし(先送り)」と「骨抜き」
という形で顕在化してきます。
ありがとうございます。
出来の悪い読者で、ぶり返すような質問をしてすみません
なんだか大学時代の勉強よりも、より本質をとらえた
学びをさせていただいているような気がしています。
今は、テレビの話題を見ていても金融不安やら、解散はいつ?など政治、行政の問題の本質的なことは語られず、なんだか事態は悪化する一方で、少し焦りを覚えます。しかし、日本を持続可能な社会にできる絶対にできると信じて、地道に頑張っていこうと思います。小澤先生は長いことウォッチしてきて、焦りとかありますか?
日本では多くの人がフローの情報が大好きで、ネット上には、フローの情報のコピペが氾濫しています。
フローの情報が大好きな人の興味は様々な分野の「現状と課題」で、あまり本質的な問題を考えないようです。「現状と課題」は官僚の好む講演テーマです。
すでにお知らせしたように、作家、堺屋太一さんによれば、日本の官僚は現実の変化への対応が15年遅れだそうです。スウェーデンのような政治主導の国の官僚は「政治決断」の実現への実行部隊ですから、日本の官僚よりも現実に即していると思います。
日本特有の「行政の縦割り構造」が現実への対応の遅れを助長していることはまちがいないでしょう。
http://blog.goo.ne.jp/backcast2007/e/8cda6345afacf6d7ec97563fdb2f5002をご覧ください。