コンピュータは何をする装置ですか、と尋ねられたら、科学技術計算と事務計算をする装置です、と応えておけば無難でしょう。ネットワークはデータベースと結びついているので、事務系と思っておけば良いです。
科学技術計算はもちろん線形代数と微積分と統計です。
BASICの元となったFORTRANは、計算機技術者で無く、現場の科学者や技術者がコンピュータを扱うための工夫です。特にFORTRANの初期の成功は印象的だったらしく、今から見ると何じゃこの文法は、みたいな感じですが、それが工業社会に与えた影響は甚大と言って良いほどのものです。
BASICはその大型機に多数の端末を繋いで同時稼働させるタイムシェアリングシステムとして開発されたみたいで、N88-BASICなどにもその面影が残っていると思います。
科学技術系の計算機教育が目的の言語で、簡明かつ実用的なデータ構造が組めて、簡潔な文法はアルゴリズムに専念できるように設計されています。そう、ある程度の実用性が確保できているのがミソで、ですからマイコンが世に出た時、これを実用にするにはBASICだ、となったのでしょう。1970年代後半の話です。
その頃、大型機では相変わらずFORTRANとCOBOLが主流で、IBMはPL/Iという統合言語を推進していて一部では好評だったものの、広く普及には至らなかったようです。
ミニコンと呼ばれる分野があって、DEC社のPDP-11が特に有名でしょう。大型機に比べればずっと経済的で、ただし計算能力はそれなり。ですがこれはヒット商品で、一時期などは(特に米国の)大学などではそこら中にゴロゴロ転がっている状況だったようです。こちらではBASICは主力言語の一つで、ですから米国ではマイコンにBASICの発想に容易に到達したと考えられます。
Z80とN-BASICの話に入る前に、計算機における線形代数と微積分と統計の扱いは知っておく方が良いと思います。計算機教育の義務化が話題になっていましたが、ベクトル・行列とBASICの配列の対応は直ぐに分かると思うものの、微積分と統計はどうでしょうかね、おそらく中学高校ではあまり話題に取り上げられていないと思います。
用意するものは2千円程度の関数電卓です。この程度の投資は学問のためですからやっておいた方が良いでしょう。目の前で体験するのとしないのとでは雲泥の差と思いますから。それと、電卓ですから後で役立ちます。私は2乗キーがお気に入りで、便利ですよ。
まずは数値積分。なぜかシンプソン則が人気ですが、台形公式やオイラー法で強引に計算する方が良いとの説があります。関数電卓ではシンプソン則が採用されているようです。
数値微分は実用はともかく、そのような考え方がある、のが分かるのが要点でしょう。
線形代数系では4元までの連立一次方程式の解法と4次までの方程式の解法が入っています。たまに役立ってしまうのが憎いところです。
ソルブ機能というのはニュートン法のことで、現実の計算機でも平方根の計算で使っているはずです。ツボにはまれば恐ろしい高速度で関数値の近似ができます。
統計は平均と標準偏差までが現場では役立つと思います。数学用語としては、一次と二次のモーメントだ、と言うとかっこいいです。
相関係数や回帰分析は入っていると思いますが、何となく傾向が分かる、までで留めておくのが吉と思います。
これらの技術系数値計算の原理は、関数電卓に同梱されている小冊子に簡潔に説明されています。
数値積分は常微分方程式の数値解で使われ、電卓では届きませんがパソコンだと偏微分方程式の解法まで視野に入ってきます。
そう、これらの数値計算の体験がPC-8001やPC-8801の当時のBASICでも十分にできます。しかもグラフィック表示で結果が見られます。好きなようにアレンジできます。
どうです?、一ついかがですか?。