(少しずつ業界に知られてきた春香たち。本日は社長からの推薦で、とあるフェスに出る。練習に高木社長が付き添っている。)
高木。クインテットの5人目に雪歩を選んだのは君か。
雪歩。なんで私みたいな貧相でちんちくりんで不器用なのを。
エド。正直に言った方が良い?、それともべた褒めがいい?。
雪歩。両方お願いします。
エド。対戦相手にたじろいでは思うつぼ。とっさに沈着冷静な判断ができるアイドルが必要だった。
雪歩。それが私、まさか。
春香。適任と思う。
エド。とはいっても、やはり最後は容姿が大切。僅差とか足の引っ張り合いに持ち込まれたら、ひたすらルックスの良い方が勝ってしまう。
紬。問題発言かと。
エド。さっき、思いっきりよいしょしろとか言ってませんでした?。
真美。要するに両方だと言いたいのだよ、エド君は。
(いつものトレーナーが指示して行く。エドも社長もじっと様子を見ている。)
エド。これで行けると思います。いかがですか?。
高木。…、そうだな。最初だからこれでやってみた方が良いと思う。
エド。まだ改善の余地があると。
高木。対戦相手による。臨機応変の指示が必要となる。何が起こるかは始まってみないと分からない。
響。望むところさ。
紬。何となくこの先の展開が見え見えかと。
春香。やるしかない。
(フェス当日。主催者の判断で、有力候補は後の方に持ってくる。春香たちは10組中、最後から5番目だ。つまり、ちょうど中間。
3人の審査員の判定で、決勝は上位2組が同じ課題曲を隣り合わせで演技して比較し合うという、えげつない催し物だ。)
エド。日本人は和を尊ぶと聞いていましたが。
高木。国内の競争は激しいぞ。数が多いからな。だが、A国の方がよほど厳しいだろうが。
エド。そうでしょうね。伺って良かったです。
高木。お、そろそろ我が765の出番だ。何か指示はあるかね。
エド。事前の打ち合わせ通りで良いと思います。
高木。やってみるか。
(予想通りセンターの春香が練習と違うことをやりだす。響と真美がとっさに合わせる。紬と雪歩は自分のことで精一杯だ。なんとなく、まとまっていない。)
エド。ありゃりゃ。こりゃここで終わりかな。
高木。まあ、見ているが良い。面白くなるぞ。
(残りの4組は無難に仕上げてしまった。ということなのか、最終戦は春香たちと玲音(れおん)というソロ。)
エド。勝ち残ってしまった。しかも相手は単騎。どういう審査基準なんだ。
高木。そりゃあ、面白いのを残す。当たり前だろう。
エド。観客はお金を払っているのですから。当前か。
高木。よく分かっているじゃないか。
(エドはスマホで玲音の調査。ものすごいレジェンドみたいだ。)
エド。なんで伝説のアイドルがこんなところに。
社長。知りたいか。もうすぐ分かることだが。
エド。アイドルたちが動揺している。何とかしなきゃ。
春香。怖い。玲音さんが相手なんて。
エド。センター変えようか。雪歩とか。
春香。私がやる。期待には応えます。
エド。その意気だ。雪歩は大丈夫か。
雪歩。大丈夫じゃないけど、大丈夫です。
エド。みんなも頑張ってくれ。
響、紬、真美。おおーっ。
(決勝開始。だが、試合にも何もなっていなかった。序盤からリードされ、中間部もじりじり引き離され、終盤も駄目打ちを食らった。)
エド。相手になっていない。あれがレジェンドか。
高木。分かれば良い。
エド。あれでもまだ余裕のように見えた。絶対に越えられない壁。ん、君たち、どうした。
春香。悔しいです。
響。これじゃ勝負にならないぞ。
真美。ぐだぐだ。
紬。それが相手の狙いです。冷静に。
雪歩。何となくですけど、勝てる気がします。ある意味、ですけど。
エド。そうだな。真似する必要はない、そのはずだ。
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