昨日は移動日で東海道新幹線を利用しました。駅はごった返していて、しかし増便のためか車内は普通の混雑感でした。高速道路も混んでいるようです。
前項で出した矢野健太郎氏の図鑑は、
矢野健太郎他。数の世界 (学習科学図鑑シリーズ(9))。小学館 (1967年)
で、どうやら私の中学生の時に買ったか買ってもらったか。今はかなりボロボロになっています。
表紙には計算尺と超音速旅客機(SST)があしらわれていて、時代を感じさせます。表紙裏はパラメトロン計算機の内部の写真(コイルに巻かれたメガネ型のフェライトコアが見えている)で貴重です。
冒頭に有史以前の数学の解説があって、しかし現在の見解ではほとんど当てにならない方法で調査されています。これも時代の変化を感じさせます。
古典的な幾何学と計数までの代数学が主体で、非ユークリッド幾何学や特殊相対性理論まで解説されているのに、ベクトルと行列は無く、微積分は話題として触れただけです。
そうではあるものの、これは実用数学からの観点です。取り上げられた項目は的確で、数学史の観点からは非常に良くできていると思います。
わずかな書き込みがあって、対数と計算尺のページでした。2の累乗の表なので、おそらく対数の仕組みを理解しようとしていたようです。もう覚えていません。計算尺は当時は中学の授業にあって、備品がありました。自分でも購入しました。
そうそう、その計算尺、表紙にあるDF尺はD尺に対して√10 (3.162…)ずれたタイプです。計算尺は十進数(常用対数)ですから、ちょうどD尺 (1~10)の真ん中で分けていて合理的です。しかし、実用的にはπ (3.14…)ずらせた方が若干役に立つので、後期にはそちらが主体だったと思います。ちなみに、DF尺も若干モダンで、元は1~100のA尺がその位置にありました。平方と平方根がカーソルを合わせただけで得られて、桁外れが若干回避できるので最初は重宝されたようです。