本日最後まで読んだ…、眺めたのは、
笠原皓司、「新装版改訂増補 線型代数と固有値問題 ―スペクトル分解を中心に―」、現代数学社(2019)
はしがきは1972年となっていますから、初版はこの頃でしょう。
私にとっては知識の補強になりました。ここにもジョルダン標準形が出てきます。内容は難しく、自分で証明出来るほどには深読み出来ませんでした。何となく了解出来た程度です。
行列の固有値に同値があると対角化が困難となり、しかしとにかくジョルダン標準形にしてしまえば先に進めることが出来て、たとえば微分方程式を組むことが出来るそうです。すぐ前に読んだ複数の数学書でもそんな感じでした。
ですから、私にとってはこの問題は解決です。
念には念を入れて、もう一冊、現在の数学者が書いた線形代数の解説書を見る予定です。ここでもっと分かりやすい固有値の同値問題の解説が出てこなかったら、現在の線形代数はこの程度なのか、と私なりに納得出来ると思います。
ジョルダン標準形は同値の固有値をジョルダン細胞にまとめた、対角化寸前の形です。対角化は出来るのですが、同値があるとそこに持って行く直交(回転)行列が計算出来なくなります。そこで、一歩手前のジョルダン標準形にすれば、その直交行列が計算出来る、そして標準化ができるのでその先に進める、と言う塩梅です。
少し前に示したように、ジョルダン細胞は剪断変形の形をしていて、重複度がkの固有値ならk×kの正方行列になります。対角線にその固有値が(同値で)並んでいて、その右というか上というかに1がk-1個並んだ形です。言葉で書くとややこしいですが、見ればすぐに覚えられる形をしています。
このジョルダン細胞自体はさらに対角化が出来て、もちろん対角線の固有値はばらばらの数値になります。その時の変換の直交行列にはk-1個の自由度が発生し、おそらく元の直交行列に任意性として埋め込まれています。
ここのところがはっきり書かれているのかいないのか、私はいまいち追跡出来ていません。が、証明はできているようなので、まあ数学的には良いのでしょう。
私的には、少し前に挙げた超球の不等分拡大と剪断変形の混合、のフィーリング理解で納得していて、多分同じ事と考えています。