アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

新日本フィルのニューイヤーコンサート2018

2018-01-13 23:00:00 | 音楽/芸術

今年最初の新日本フィル定期演奏会に出向いて来た。

新春に相応しく今回はワルツを集めたプログラム。ちょうど本場ウィーンで毎年開催されるニューイヤーコンサートのようで、どこか華やかでリラックスした雰囲気に包まれた会場だった。アントンK自身、今まではこの手のコンサートにはご縁が無く、いつも正月のTVで放映されるものをチラ見するに止まっていたが、今回、こういった年始のタイミングで聴くJ.シュトラウスも文字通り心が踊らされて良いものだと認識を新たにしたところ。またまた上岡敏之氏率いる新日本フィルの方々にお年玉を頂いた思いである。

ただし、シュトラウスの楽曲を並べただけのニューイヤーコンサートで済むはずがないのが上岡流。プログラムの前後にラヴェルの楽曲を演奏し、シュトラウスがサンドされた格好だった。アントンKは、いつの間にか演奏会鑑賞歴40年を越えてしまったが、この手のワルツばかりの演奏会は初めてだ。やはりホールに行き、聴衆の一人として着席して味わう舞踊曲は、ある意味想像出来ないくらいの意味を自分に語りかけてきたと思っている。個々の楽曲については、詳しくないアントンKなので、演奏解釈云々は記述出来ないのだが、最初のラヴェルこそ、まだ緊張が楽曲に見え隠れしていたが、シュトラウスが始まると、指揮者や演奏者たち全てが演奏することに喜びを感じ、その楽しさ陽気さが我々聴衆にまで飛び火して熱く高揚していき、最後に置かれたラヴェルの「ラ・ヴァウス」でその頂点に達したと言えるのではないだろうか。そしてその高揚感にとどめを指すがごとく、アンコールに「こうもり」序曲が演奏されたのだった。指揮者上岡氏は、相変わらずのバトンテクニックでオケを引っ張るが、見ていて驚かされるのは、この小品群の全てを自分の中で解釈し、決して曖昧なところが存在しないこと。もちろんいつもの通りと言えばその通りだが、適格なオケに対する指示や、コンマス崔氏との演奏中でのやり取りですぐに理解できる。ご本人にすれば至極当たり前の事なのだろうが、似たようなワルツが10曲も並び、それも暗譜で指揮される様は、やはりアントンKには驚くべきことだった。それはオーケストラ側にも言えることで、変幻自在とも言える楽曲のリズム感、時に五線の縦線が消えてしまったようなテンポ感から、超絶技巧練習曲のような高速な動きまで多種多様の要求に食い入るように付いていくオケのメンバー達にはエールを送りたい。

終演後、アントンKのわがままをコンマスの崔文洙氏が聞いて下さり、少しの間だがお話させて頂くことができた。アントンK自身も舞い上がってしまい失礼など無かったか未だに気にかかるが、どこか旧友に再会した時のような懐かしい思いが募り、とても良い時間を持つことができた。やはりアントンKの思い描いていた通りのお人柄であり、益々目が離せなくなってしまった次第。

崔さん、その節は無理を聞いて下さり有難うございました。今後ともよろしくお願い申します。

第582回 新日本フィルハーモニー交響楽団定期演奏会 トパーズ

ラヴェル      高雅で感傷的なワルツ

J.シュトラウス   ポルカ・マズルカ「踊るミューズ」 OP.266

J.シュトラウス2世  ポルカ・シュネル「狩り」 OP.373

                          ワルツ「東方のおとぎ話」 OP.444

                 歌劇「騎士パーズマーン」OP.441よりチャールダーシュ

           ロシアの行進曲風幻想曲 OP.353

                ワルツ「加速度」OP.234

E.シュトラウス    ポルカ・シュネル「電気的」

J.シュトラウス2世 ポルカ・マズルカ「女性賛美」 OP.315

          新ピッツィカート・ポルカ OP.449

                           ワルツ「北海の絵」 OP.390

ラヴェル     ラ・ヴァウス  管弦楽のための舞踊詩

アンコール

J.シュトラウス  歌劇「こうもり」序曲

指揮   上岡敏之

コンマス 崔 文洙

2018年1月13日 東京 すみだトリフォニー大ホール