アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

峠を越える新幹線

2016-11-12 10:00:00 | 鉄道写真(EC)

まさかここで新幹線を撮影するとは、夢にも思わなかった・・・

山形まで新幹線が通ってからすでに20年以上の年月が流れている。ここ板谷峠は、若かったアントンKにとっては、いわば憧れの地であった。古くは直流電化でEF15やEF64がこの地で奮闘し、当時の写真を食い入るように何度も眺めた懐かしい日々。そしてその後交流電化されていた時代には、この峠の主だったEF71やED78を何度となく撮影したものだ。今見ると大した記録は残せなかったが、過去帳をひも解いてここで改めて回想してみても面白いかもしれない。

この日は、前出のE3系の旧塗装車をメインに当地を訪れたが、その合間には、思いのほか通常の新幹線「つばさ」が往来する。今のE3系の塗色は、お世辞にも良いとは言い難い塗色で、どこか田舎くさいイメージの色合いだ。センス云々とは言いたくないが、もう少し考慮できないのかと思ってしまう。

掲載写真は、そのE3系新幹線の板谷駅通過シーン。まるで間に合わせで設置されているように見えてしまうスノージェット内のホームを、減速することもなく通過して行く。昔と線形は変わらないから、上り勾配もそれなりにキツイはずだが、何の苦も無く静かに通過して行く。味もそっけもない。無機質だ。こんな場面に情緒を求める方が変わっているだろうが、この地に来て、何の意味もなくどこか寂しく空虚に感じてしまったのだ。

スイッチバックの引き込み線跡も、藪に覆われた旧線路も、木々の色づきも、野鳥のさえずりも、吹き下ろしてくる風の冷たさも、昔のままなのに、そこには無味無臭の新幹線がこの地に溶け込んでいた。

2016-10        E3系新幹線「つばさ」    JR東日本/山形新幹線 板谷付近