分類：ＰＶ「。」 と 「？」 では大違い
アニメ映画の 「君の名は。」 が未だ上映される前の話になるが、酒の席で友人が「今度アニメ映画で、故郷の飛騨高山地方をモデルにした君の名は。というのが上映されるようです」と、満更でもないような言い方をした。
私は咄嗟に 「そういえば昔、ラジオで君の名はという同名のドラマがあって、その放送時間帯になると銭湯がガラ空きになったというエピソードがあったなー」 などと、ピンボケの応え方をした。
「今度のやつ（作品）には君の名はの後に 。が付いたアニメですよ。同名とは云えません」
疎（うと）い自分を軽蔑するかのように口の端を持ち上げて笑った。
その映画こそ公開当初、若者を中心に支持を集め、いまやＳＮＳで感動が広がって累計観客動員数が１千万人を突破したというのだから驚きだ。
《新海誠監督のアニメ映画 「君の名は。」 のワンシ－ン》
それほど 「君の名は」 という言葉はゲンが良いのかも知れないが、私にとっては 「勇み足」 と 「失敗」 の苦い経験を呼び起させるセリフとして残っている。
２０代の後半に都会に住んでいた頃があって、街を歩いていたら道端に財布が落ちているのを発見して最寄りの駅前交番へ届けた。警察官が中身を確認しながら 「カラ財布か」 と言うなり、私に視線を向けて 「君の名は？」 と聞いた。
その後に拾得物届書に拾った時間と場所をはじめ、名前や住所などの詳細を書き込んで３０分前後の時間を費やしてしまった。翌日に会社の同僚たちに財布を拾った話をしたら 「そんなバカ真面目なことをしたら駄目だ。もし落とし主が現れて財布には、ン万円が入っていたんだと主張されたらお前が疑われてしまうのが関の山だぞ」 と諭された。 なるほどな、と変に納得した。
幸か不幸か、落とし主は６か月と２週間が経過しても現れなかったようで、管轄署から拾い主の物となった通知があった。私は自由に処分してほしい旨の電話を掛けて半年間の精神的な苦痛から決別することができた。
「。」 と 「？」 の句点の付き方によって、大きな開きがあるのを今更ながらに思い出した。
