■潮風の季節 / 田代麻紀 (東芝)
プロのソングライターである以上、作った楽曲がオリジナルからカバーバージョンへと複数レコーディングされていく事は、ビジネス的にも喜ばしい話に違いありません。
しかしファンにとっては、殊更楽曲のイメージと歌手や演奏者の個性がダブったり、ズレたりする事は必ずしも素直に受け入れられるものでは無いでしょう。
例えば本日掲載のシングル盤A面収録の「潮風の季節」は作詞:橋本淳&作曲:筒美京平の代表的な隠れ人気曲として、昭和歌謡曲ファンには平山三紀のバージョンが決定的な印象を残していると思います。
ところが実際のオリジナルバージョンは掲載盤で歌っている田代麻紀のレコーディングなんですねぇ~~~。
それが世に出たのは昭和47(1972)年の8月に堂々のA面曲、一方の平山三紀のバージョンは同年10月発売のシングル盤「月曜日は泣かない」のB面に収録されていたんですが、どういうわけか平山三紀の「月曜日は泣かない」はそれほどヒットしていた感じではなく、サイケおやじは件の「潮風の季節」に親しんでいました。
もちろん告白すれば、リアルタイムでは田代麻紀の存在や彼女のオリジナルバージョンは全く知らず、ラジオ等々から流れてくる平山三紀のカパーバージョンをてっきりオリジナルヒットと思い込んでいたのです。
こうして年月が流れた昭和50年代末、例の「廃盤アワー」企画で取り上げられたのが、田代麻紀の「潮風の季節」であり、事の真相を知り得たのも、レコードをゲットしたのも、その時以降!?
で、気になる両バージョンの比較なんですが、アレンジは何れも筒美京平が担当しているので、基本ラインは同じながら、例のモータウン系がモロなイントロからして平山三紀のバージョンはマリンバ(?)を使用したソフトロック調であり、彼女のボーカルも殊更Aメロは何時ものエグ味が抑えられています。
しかし田代麻紀のバージョンはグッと本来の狙いであったと思われるノーザン系のソウルっぽさが全開で、彼女の歌いっぷりも熱いコブシ回しが節々で滲むという、ちょっぴり弘田三枝子からの影響も感じれるのですから、たまりません。
いよいよサビに入っては、演歌~歌謡曲保守本流で活躍していた朋ひろこ時代の片鱗を存分に披露する、これが情念のポップス歌謡か!?
例によって、それをサイケおやじの独断と偏見の思い込みと言われれば、返事のしようもありませんが、それまで聴いていた平山三紀のバージョンを軽く感じてしまった事にも必然性を認めるべきなんでしょうか……。
ただし、そう書いてしまっても、平山三紀には平山三紀の良さが確かにあって、やはり同じくサビに入っての歌い回しには十八番の捨て鉢なフィーリングが強く出ますからねぇ~~~♪
それはそれでサイケおやじは大好きなんです。
言い換えれば、お気に入りの楽曲である「潮風の季節」を共に好ましい個性で演じてくれは田代麻紀と平山三紀には感謝しているわけで、本日はそれを書きたいがために、田代麻紀のオリジナルバージョン盤を掲載したというわけです。
ということで、橋本淳や筒美京平のような天才ソングライターにすれば、「潮風の季節」も大騒ぎするほどの作品ではないかもしれませんが、広く音楽愛好者にとっては、なかなか気になる様々な事象を知る得るわけですから、たまらないわけです。
うむ、昭和歌謡曲が好きで良かったなぁ~~♪
しみじみと、そう思っているのでした。
コメント、ありがとうございます。
「サマー・クリエイション」、流行りましたですねぇ~~♪
本当に涼しい曲調とボーカルは不滅と思います。
しかし、お尋ねの作曲者については知るところがありません。
だいたいシェパード姐さんにしても、千昌夫の奥方だったという事ぐらいしか……。
それでも確か、日本語の歌を入れたレコードも出していた記憶があります。
真相は如何に?