■Crying In The Rain / Everly Brothers (Warner Bros. / 東芝)
さて、サイモンとガーファンクル=S&Gの「Bye Bye Love」によってエヴァリー・ブラザースへの扉を開かれたサイケおやじは勇躍、彼等のレコードを聴く決意も虚しく、結局はお金が無いので中古盤屋へ行くしか無かったのですが……。
その昭和46(1971)年当時は既にエヴァリーズの全盛期が去ってから10年近く経っていた所為もあり、なかなか状態の良いブツには出会えませんでした。
というか、リアルタイムの我国でエヴァリーズがどの程度の人気があったのか、ちょいと知る由もなかったのが本当のところでしたし、エヴァリーズのキャリアさえ、その頃は忘れられていたんじゃないでしょうか?
少なくとも高校生だったサイケおやじは、もしもS&Gの「Bye Bye Love」を聴かなかったら、エヴァリーズに興味を抱くはずも無かったわけです。
そこで有用だったのが、本屋の立ち読みならぬ、レコード屋での付属解説書の立ち読みでしたが、これがなかなか勉強になったんですよっ! 知らないレコードを買う時には、これが一番でしたし、それでいて、実際に入手する先は中古屋なんですから、本当にサイケおやじのセコイ行動をお笑い下さいませ。
で、そうやって知り得たエヴァリー・ブラザースとは、ドンとフィルの兄弟デュオなんですが、実は両親が既にローカルスタアとしてラジオ番組を持つほどのカントリー&ウェスタン歌手だったことから、この兄弟は幼少の頃からプロのステージに立つほどの才能があったそうです、
つまりエヴァリーズは最初っからファミリーグループとして、局地的に認められた存在だったというわけです。
そしてドン&フィルは1956年に有名なギタリストであり、プロデューサーでもあったチェット・アトキンスに認められ、カントリー&ウェスタンの総本山とも言うべきナッシュビルで兄弟デュオとしての活動を本格化させ、公式デビューとなるシングル盤も発売するのですが、最初は鳴かず飛ばず……。
と言うのも、後に知ったことですが、当時のエヴァリー・ブラザースは白人でありながら最先端の流行になっていたR&Rのフィーリングを自然体で身につけていたらしく、カントリー&ウェスタンが主流の巡業に参加すれば、そこは白人の聴衆ばかりということで、黒っぽい感覚を野次られるといった中途半端な存在だったようです。
しかし時代は既にエルヴィス・プレスリーの登場によって黒人の様に歌える白人が求められており、そこにユニゾン&ハーモニーコーラスで歌うエヴァリーズは、全くのニューウェイヴだったのでしょう。
ついに翌年には前述した「Bye Bye Love」が最初の大ヒット!
以降は所謂アンプラグドなR&Rをベースにした元祖カントリーロック的なスタイル、あるいは夢見る十代向けの甘いパラードの二本立で、多くのシングルヒットを放つのですが、所属レコード会社をケイデンスからワーナーに変えた1960年頃からは、さらに洗練されたポップス指向が強まった楽曲を出す様になり、いよいよ全盛期を迎えたのです。
そこで本日ご紹介のシングル盤は中古ながら、サイケおやじが初めて買ったエヴァリーズの1枚で、本国アメリカでは1962年春の大ヒット♪♪~♪
しかも後追いで聴くサイケおやじには、アコースティックギターとドラムがメインのイントロやエレギギターのオカズの彩り、またユニゾンのボーカルとシミジミ系の曲メロのムードが、ほとんどS&Gに思えましたですねぇ~♪
う~ん、これだったのかぁ~~~♪
そして、さらに追い撃ちの衝撃だったのは、曲を書いたのが当時、つまりサイケおやじがこのシングル盤を入手した昭和46(1971)年、シンガーソングライターブームでメキメキと注目を集めていたキャロル・キングだったのですから、たまりません。
十八番の胸キュンフィーリング、些かネクラなAメロから情熱的なサビの展開をスマートなコーラス&ハーモニーで歌ってしまうエヴァリーズは、全く古さを感じさせないポップスの根源的な魅力に溢れています。そこにビートルズやピーター&ゴードン、そしてS&Gが影響を受けるのも当然の秘訣があるんじゃないでしょうか。
こうしてエヴァリー・ブラザースの虜になったサイケおやじは以降、ジワジワとではありますが、この素晴らしき兄弟デュオのレコードを集め始めたというわけです。
もちろんエヴァリー・ブラザーズが大活躍していた頃の業界はシングル盤優先主義でしたが、しかし人気が既に下り坂となっていた1960年代後半から作られたアルバムにも、なかなか素敵な作品がちゃ~んとあるのです。
それらはいずれご紹介するとして、まずはシングルヒット集からエヴァリーズを楽しむ事が、やはり王道だと思います。今日では、それらがCDにきちんと纏められておりますので、ぜひっ!
いやぁ、ホントにキャロル・キングはいい曲書きますね。初期のカントリー、ロカビリー路線もいいですが、エヴァリーズの真の魅力はこの胸がつぶれるような切ないポップス路線にありだと思います。切なさがストレート過ぎている感も若干ありますが、まぁこれは60年代前半アメリカンポップスということでOKでしょう。
TB送らせていただきました。よろしくお願いいたします。
コメント&TBありがとうございます。
仰るとおり、アメリカンポップスの王道を歌い続けたのが、エヴァリーズだったと思います。
1970年代に解散し、兄弟がそれぞれにソロで出した楽曲は、どうもイマイチなんですが、後にリユニオンした時には、ちゃ~んと往年の味わいを表現していたのは、やはり兄弟の絆というところでしょうか。
こちらからもTB送りました。
よろしくお願い致します。