■スイートアグネス / 高中正義 (Kitty)
1970年代後半の我国グラビアアイドル界で最高の人気を得ていたのが、アグネス・ラムでした。と言うか、当時は「グラビアアイドル」なんていう言葉もジャンルも確立されていませんでしたから、その元祖がアグネス・ラムだったということかもしれません。
まあ、それはそれとして、最初に注目を集めたのは昭和50(1975)年頃、シャンプーかリンスのテレビCMだったと記憶していますし、同時に水着や露出度の高い衣装とは正反対の愛くるしい面立ち、もちろんスタイル抜群のセクシーな肢体を出し惜しみしないグラビアが雑誌にガンガン掲載されたのですから、正常な日本男児ならば、瞬時に辛抱たまらん状態♪♪~♪
ちなみに彼女は名前からもご推察のとおり、日本人ではなくチャイニーズ系のアメリカ人で、主にハワイを中心に活動していた本職のモデルだったのですが、我国でブレイクしたきっかはカーオーディオメーカーのクラリオンが主催したキャンペーンガールの初代クイーンに選ばれたことでした。
そしてアグネス・ラムが大ブレイクしたことにより、そのクラリオンガールに選ばれることをスタアへの入り口として、芸能界で飛躍した美女が、例えば烏丸せつこ、宮崎ますみ等々大勢いますし、中には開いた口がふさがらない蓮舫なんていう仕分け代議士の過去も、クラリオンガールでありました。
しかしやっぱりダントツだったのはアグネス・ラムに他なりません。
とにかく彼女さえ載せていれば雑誌は売れるし、盗難が相次ぐCMポスターゆえに対象商品が絶好の宣伝となり、またテレビでは夥しいCM以外にもバラエティ番組や英会話番組に出演していました。
また写真集も大量に出版されていたは言うまでもなく、ついには東映によって「太陽の恋人(昭和51年・三堀篤監督)」なんていう短篇映画さえ作られ、本日ご紹介のシングル盤は、そのテーマ曲♪♪~♪
ただし決してアグネス・ラムが歌っているのではなく、同じ頃に、やはり人気急上昇中だったギタリストの高中正義が演じるフュージョンインストが、その正体!? ということは、ジャケットからして彼女の歌声を期待したファンを裏切ることにもなるフェイク商品なのですが、そのあたりは彼女の素敵な笑顔に免じて、気持良く騙されれば結果オーライでしょうね。
もちろん収められた演奏そのものは、如何にも楽園的な爽快フュージョンになっているのは当然が必然! ですからキュートな彼女のジャケ写を眺めながら、あるいは映画館で鑑賞した前述の短篇映画の美味しい場面を思い出しながら、刹那の気分に浸るのは決して罪悪ではないのです。
また、それを演じている高中正義の履歴については、昭和42(1972)年に参加したサディスティック・ミカ・バンドでの鮮やかにしてアクの強いギタープレイが強い印象となり、以降は継続発展的に結成されたサディスティックスでの活動や、その傍らでの各種セッション参加、そして自身のソロデビューと、常に時代の流行を裏と表の両面から支え、リードしつつ今日に至っているわけですが、それ以前から我国のロック界では、例えば成毛茂のバンド等々でベースをやったり、自己のバンドを率いていたりという下積みがあったそうです。
実は私は、その高中正義がベースをやっていたという昭和46(1971)年末頃の成毛茂&つのだ★ひろのライプに接しているのですが、全く印象にも記憶にも残っていません。それが前述したサディスティック・ミカ・バンドでは加藤和彦やミカを見事に盛り立てると同時に、それ以上の目立ちまくる熱演まで披露していましたですねぇ~♪
それゆえにフュージョンインストがメインのリーダー盤ともなれば、ツボを押さえた作編曲とサンタナやリー・リトナーを想起させるギタースタイルが冴えまくり! ファーストアルバムの「Seychelles」が昭和51(1976)年7月、次いで同年8月に最初のシングル盤として発売されたのが、本日ご紹介の1枚というわけです。
ちなみに、この「スイートアグネス」は、そのデビューアルバムではなく、翌年5月に発売されたセカンド作「TAKANAKA」に「Sweet Agnes」として同一テイクが収められています。
ということで、最後になりましたが、実はこのシングル盤は私が買ったものではなく、リアルタイムで熱烈なアグネス・ラムのファンだった友人からの貰いものでした。それは友人が結婚することになった昭和57(1982)年のことで、その頃になると彼女の人気も下火になっていたのですが、あえて友人は「けじめ」をつける意味でアグネス・ラム関連の膨大なコレクションを処分した中のひとつとして、これを私にプレゼントしてくれたのです。
う~ん、もともと竹を割ったような性格の奴でしたから、流石に往生際が良いというか、結婚する男が何時までも昔のアイドルをオカズにするわけにもいきませんからねぇ。
ちなみに前述した短篇映画「太陽の恋人」は、わざわざハワイまでロケ隊が出張ってのイメージ作品で、私もリアルタイムで観ています。それは確か舘ひろし主演の「男組少年刑務所」や岩城晃一の「爆発!750cc族」あたりとの併映だったように記憶していますが、客層の大部分はアグネス・ラムがお目当てだったと思います。しかしそれは本当に30分に満たない短さで、内容は彼女が買い物やドライブ、テニスや乗馬をしたりというプライベートなところから、お約束の水着姿で海辺に遊ぶという、これが当時はボインと称していた彼女の巨乳を徹底マークした、如何にもしぶとい仕上がりでしたねぇ。
もちろんそこにジャストミートしていたのが、高中正義が演じるフュージョンギターのインスト天国だったというわけです。
高中さん自身もチャイニーズ系だし、そういうのもあったのかな。
結局アグネスに遭遇すること叶わず(ノ_-;)(取巻き多すぎ)
帰宅後、週刊プレイボーイでしっかりオカズにさせて頂きましたワ(若いネ)♫
コメントありがとうございます。
まあ、当時の風潮というか、ハワイという楽園には高中フュージョンという「お約束」かもしれませんよ。
ちなみに高中正義のお母様は、熱心なステージママだったという噂は本当でしょうか?
懐かしい思い出話、ありがとうございます。
そうですね、スタアが街へやって来るという騒ぎは、なんともいえない思い出になりますよね。昭和40~50年代の新宿だと年中、映画やテレビドラマのロケをやってましたけど、流石にアグネス・ラムの時は騒乱に近いものがあったと友人から話を聞いたことがあります。
個人的には一度も「生ラム」に接したことがなく、それが心残りでもありますね(笑)。
それでも当時、東てる美を「生」で見た時には感動して、もちろんオカズの思い出になりました(苦笑)。