■タイニー・メモリー / 柏原芳恵 (フィリップス)
アイドルシンガーと云えば、華やかに弾けるアップテンポのポップス歌謡というイメージがある反面、寂し気な悲しみの歌を十八番としていたひとりが柏原芳恵だったように思います。
それは幾分のケバさが滲む面立ちと男好きのする肢体が目立つ彼女の個性とは裏腹の魅力であって、またそ~した彼女なればこそ、内省的な歌が強い印象を残すでしょう。
本日掲載のシングル盤に発売されたシングル盤A面収録「タイニー・メモリー」も、そのひとつとして、彼女の持ち歌の中では決して代表的なヒット曲ではないかもしれませんが、ミディアムスローな歌謡フォークを歌うアイドルとは、こ~あるべき!?
という、なかなかしぶとい仕上がりになっているのは、作詞作曲:松山千春&編曲:石川鷹彦という、如何にもそのジャンルの第一人者から提供された素晴しい結末と書けば、贔屓の引き倒しでしょうか。
サイケおやじとしては、好きなジャンルとは言い難い楽曲であり、同時期に出されていた松山千春の自作自演バージョンなんかは聴いていられないのが正直な気持ちなんですが、それを柏原芳恵が歌ってくれれば、オーバープロデュース気味のアレンジにも違和感は覚えないのですから、いやはやなんとも、自らの腰の据わらなさには自嘲するしかありません。
しかし、それもまた、アイドルシンガーのひとつの役割だとすれば、多種多様な歌の世界を楽しむチャンスを逃すのは勿体ないですねぇ~~♪
そんなふうに自分に言い聞かせているのでした。