■めざめ c/w 風わたる街 / 松平マリ子 (クラウン)
松平マリ子は失礼ながら、今ではちょいと忘れられた存在かもしれませんが、少なくともサイケおやじの世代の皆様であれば、必ずや彼女の声は刷り込まれているはずです。
それは松平マリ子の前身が、我国歌謡ポップス草分けのひとりである梅木マリですからねぇ~♪ 昭和30年代後半、日本語歌詞の洋楽カバー等々を溌剌としたアニメ声(?)で披露していた頃は中学生の愛くるしい少女でありましたが、何んと言っても有名すぎるのが、昭和39(1964)年からテレビで放送されたアメリカの傑作アニメ「トムとジェリー」の日本語版テーマソングを歌っていたことでしょう。
トムとジェリ~、なかよく ケンカしなぁ~♪
というキャッチーな最初のワンフレーズだけで、アッという間に惹き込まれてしまう世界は三木鶏郎の作詞作曲によるものですが、それにしても梅木マリとフォーコインズの歌いっぷりは最高の極みでしたから、刷り込まれているというのは、そこに所以しています。
ところが梅木マリは、一旦そこでフェードアウト!?
そして昭和41(1966)年、松平マリ子と改名しての再デビューになるのですが、その時ですら、16歳だったんですよねぇ~!?!
と書いてしまったのは、松平マリ子が聞かせてくれていたのは当時流行のエレキ歌謡~ひとりGS歌謡がメインだったんですが、その歌の大人っぽい上手さはアイドルというジャンルでは括れないほどで、まあ、その頃は「アイドル」なぁ~んていう言葉は後に一般化する意味合いでは無かったんですが、それでも昭和40年代後半からの例えば麻丘めぐみ、浅田美代子あたりの同年代歌手と比較してみれば、それは圧倒的と思います。
もちろん梅木マリ時代の些か素っ頓狂なボーカルスタイルも時折は滲ませていますが、落ち着きとジンワリ滲みてくる歌唱表現は、特にミディアム~スローテンポの楽曲で発揮され、コブシの使い方も侮れません。
実は告白すれば、サイケおやじは初めて松平マリ子の歌に接した時、まさか梅木マリと同一人物だとは思いもしませんでした。
あぁ~、ここまでチャイルドシンガーから大人の歌手に上手く転身出来た松平マリ子は素晴らしい!
そのあたりが最も楽しめるのが、本日掲載のシングル盤で、これが世に出たのは昭和44(1969)年だったんですが、この時ですら、19歳!
それを知ってみれば、特にA面「めざめ」における、深淵な愛の相克を歌う表現は凄すぎますよ。
あぅ~なたにぃ~愛さぁ~れて 目~覚めたぁ~私~~♪
ですからねぇ~、いきなりっ!
しかもパロック調アレンジも入ったソフトロック系の曲メロを歌う彼女のボーカルには、微妙に霧のような音響処理が施されているのでしょうか、最終的には正統派歌謡曲に仕上がっていることを鑑みれば、セクシー歌謡の新展開を狙った企画と言えないこともありません。
ちなみに作詞は山上路夫なんですが、作曲が後に結婚する三木たかし!
そのあたりも意味深な名曲にして名唱と思うばかりです。
一方、B面の「風わたる街」が、これまた最高のソフトロック系歌謡ボサノバの隠れ人気曲♪♪~♪
A面の「めざめ」と同じソングライターコンビの作品とはいえ、恋の喜びをストレートに表現していく松平マリ子のボーカルが実にたまりません♪♪~♪
個人的には、完全にこちらが好みのサイケおやじであります。
ということで、既に述べたとおり、彼女は作曲家の三木たかしとの結婚により、おそらくはこのシングル盤を最後に引退へ……。
つまり、それなりに長い芸能活動でありながら、年齢的には未だ若いリタイアが、ちょいと惜しまれるなぁ~んていう不遜な気持もあります。
そして幸いな事に、彼女の残した音源は梅木マリ&松平マリ子の両時代の歌が、きっちり各々纏めてCD化されていますので、ぜひともお楽しみ下さいませ。
独断と偏見かもしれませんが、つまらないトラックや捨て曲なんてものはひとつもありませんよっ!
最後になりましたが、サイケおやじは後追いながら、彼女のアナログ盤もコンプリートを目指して、コツコツと蒐集しているのでした。
三枚目「木枯らしの二人」からズーッと作詞:阿久悠.作曲:三木たかしですから。
ちなみに私はシングルで、デビュー曲「ひまわり娘」から「何が私に起こったか」の12枚を持っています。
やっとAB面を全部録ったCDを作ったとこです。
伊藤咲子大好きで、またしばらくこのCDをきくことになるでしょうね。
記事にある歌手は知らないので脱線してご免なさい。
コメントありがとうございます。
伊藤咲子は私も大好きで、最近は車の中の必需品になっています。
三木たかしは黛ジュンの実兄であり、すると一時、彼女と松平マリ子は義理の姉妹であったんですよねぇ~。
そう思うと同じ楽曲を競作して欲しかったなぁ~んていう戯言妄想も浮かんでまいります(笑)。