OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

お前に惚れたという日は来るか…

2017-06-09 18:16:45 | 歌謡曲
お前に惚れた c/w 兄貴のブギ / 萩原健一 (エレクトラ / ワーナーパイオニア)

昭和50(1975)年初夏、「ブルージンの子守唄」以来、久々に萩原健一=ショーケンの新曲レコードが出るというので楽しみにしていたら、実際に歌われていたのがド演歌チックな語りソング!?

それが本日掲載のシングル盤A面曲「お前に惚れた」でありました。

いゃ~~、これには本当にクリビツテンギョウのサイケおやじでしたねぇ~~!?!?

だって、ここまでの流れとして、皆様ご存じのとおり、テンプターズのショーケンは同バンド解散後にGSオールスタアズとも言うべき PYG で日本語のニューロックを目指し、役者としても「太陽にほえろ!(日本テレビ)」でのマカロニ、そして「傷だらけの天使(同)」では木暮修という、カッコ悪いことが最高にカッコイィ~~演技を披露していた、そんな姿勢が死ぬほどロックしていたとサイケおやじはシビレていたのですからっ!?

まさか……、タイトルも歌詞も曲調も、こんなに演歌どっぷりなものをやってしまうなんて、想像も出来なかったんですよ……。

それでもイントロがブラスロックっぽいリフだったり、バックのギターにソウルっぽさがあったのは救いとはいえ、いきなり内気な語りがあって、さらにずぶずぶの歌謡曲メロディが出て来るんじゃ~、なにが哀しくて、ショーンがこんな歌を……?

なぁ~ん、本気で不遜な事を思っていたんですから、サイケおやじも若気の至りじゃ~、済まされない愚途でありました。

しかし現実的には作詞:阿久悠&作編曲:井上堯之が提供した「お前に惚れた」は大ヒットし、おそらくはソロシンガー・萩原健一の最初の代表的人気演目になったわけで、そ~なってみるとサイケおやじも虚心坦懐にならざるをえません。

うむ、確かに井上堯之が弾いているであろうギターは泣いているし、萩原健一の節回しにも、湿っぽい歌詞に相応しい内省衝動が滲み出ているのですから、これは立派な大人のロック!?

云々諸々、実に都合の良い解釈で粋がってしまったのが、サイケおやじの情けなさであり、これは皆様に笑われようとも、今となっての懺悔の告白、改悛の情とご理解いただければ幸いでございます。

そして、もちろん今は大好きな歌と演奏になっているんですから、いやはやなんとも……。

また、特筆する必要もないんでしょうが、それにしても、やっぱりリアルタイムのショーケンにイメージ違いとも思える企画を与えた制作側の意図、またそれに従い、結果的に大きな成功を収めた萩原健一の胸中を推察するにはあまりにも深いものを感じるわけですが、その意味での安全策だったのでしょうか、作詞作曲:ブギウギ三人衆&編曲:井上堯之によるB面「兄貴のブギ」が、なんとっ!

前述「傷だらけの天使」で絶妙の共演を披露し、強い印象を残した水谷豊がボーカルでゲスト参加した、タイトルどおりに如何にものロケンロールになっているのは、嬉しいプレゼントでもあり、今となっては面映い感じがしますですねぇ~~♪

ちなみにプロデュースは井上堯之ですから、歌謡ロック狙いの路線を露わにしたかったのかもしれませんが、実は同時に発売されたLP「惚れた」は、このシングル盤に収録の2曲を含みながらも、さらに演歌色が強くなっていたのですから、ますます愕き、それでいて萩原健一でしかありえない個性と質感を堪能出来るという名盤なのか……?

そんなふうに思う他はありませんので、機会があれば皆様もお楽しみ下さいませ。

結局、萩原健一のカッコ良さって、ロック的泣き節の妙なんでしょうか?

そこにはテンプターズ時代の「不貞腐れた歌謡GSヒット」と同時に「正統派に拘ったロックシンガー」としてのツッパリ、さらに俳優としての反逆的演技から義理人情が浮かび上がるような、せつなさの魅力があるのかもしれません。

ということで、どうにも本日は収まりの悪い戯言に終始してしまいましたが、私的には仕事が現在、本気で演歌モードに入っているので、こ~した歌を欲する気分なのです。
 
スカッと、ロックで行きたいもんですが、現実としては暗黙の了解に基づくジャスでもあり、ため息と躍動のブルースロックでもあって、その中から何かしらのソウルを見出そうと、足掻いているのでした。
コメント
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