FOOTBALL LIFE

~サッカーを中心に日々の雑感など~

『評決』

2005年05月25日 | Weblog
フランク・ギャルビン(ポール・ニューマン)は、かつて法律事務所で将来を嘱望されるような弁護士だった。今は葬式に行っては親族に処理をお任せ下さいと名刺を置いてくる生活。彼を支える老弁護士ミッキーの計らいで医療ミスの事件を紹介される。麻酔処置の誤りで植物人間になっていた。相手とされた聖キャサリン病院は、病院の信用を失うことを恐れ、21万ドルという示談金を用意してきた。

しかし、病院にいって証拠となるベッドに横たわる患者の写真をとっているうちに、衝撃を受ける。「真実は葬り去られる。機械につながれ、こん睡状態で死んだも同然。金を受け取れば三百代言になってしまう。彼女を助ける。僕は今日、生き方を変えた」彼は病院からのお金を受け取らず、法廷で争うことを決意する・・・

そうはいってもそこはハリウッド映画だから、相手の医者は有名な著作まであり、名だたる弁護士事務所がついている、証言を約束した医者は姿をくらます・・・とまあ、山あり谷ありの展開になる・・・。ポール・ニューマンの飲んだくれになるにはそれなりの理由があります、という人間味溢れる弁護士がこれまたいいし、これを見守っている年老いた弁護士仲間もあったかくて泣けてくる。たった二人で文献を探しながら法廷闘争に備えるんだからね。

さらに脇役の描き方がどれも納得する存在感。訴えている姉夫婦の夫が示談金を受け取らない、法廷で争うというとフランクをぶん殴る。自分の妻の姉のために奮闘して面倒を見てきたのだ。アメリカではどれくらいの費用がかかるのかわからないけれど、日本だってこれはもう大変な金額になるだろう。しかも4年間も。これ以上ないくらいのいい人ー。歯の一本も折るくらい殴りたくなるよ。

証言者としてきた医者は74歳でただの町医者。がっかりしているフランクに「ギャルビンさん、人間を見限ってはいけない。時には真実に耳を貸すことがあるのです。」と堂々といって立ち去る。たいしたもんなのだ。行きつけの酒場に現れたローラ(シャーロット・ランブリング)にひかれてしまうというのも「どんでん返し」の味付けになっている。こっちも悪女には悪女になる理由がありますというところ。

なんといっても山場は法廷場面。陪審員相手に素晴らしい言葉が続く。「今日の法はあなた方です。あなた方が法です。正義への願いです。」陪審員というものの責任重大さがヒシヒシと伝わってくる。フランクにとってはただ裁判に勝つということだけではない。彼の人生の起死回生でもあるからだ。戦う相手のほうの役者もみんなうまい。面白くて見ごたえがあり、なんといってもポール・ニューマンがいい、という映画。

今、思い返してももう一度見たいなあというハリウッド映画は、法廷劇ばかり。「十二人の怒れる男」や「アラバマ物語」。ヘンリー・フォンダやグレゴリー・ペックが魅力的だった。アメリカの良心を見る思いがした。






























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2 コメント

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TBありがとうございます (アスカパパ)
2005-05-26 10:42:49
「十二人の怒れる男」といい、「評決」といい、本当に言われるように良心的な映画ですね。
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こちらこそ有難うございます。 (henry)
2005-05-26 12:10:05
コメント有難うございます。こういう見ごたえのあるアメリカ映画が見られなくなりましたね。アメリカ社会も変わってきたということでしょうね。
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