もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

0092 内海聡「精神科は今日も、やりたい放題」(三五館;2012) 感想4

2013年08月22日 02時46分33秒 | 一日一冊読書開始
8月21日(水): ※気楽に借りた本だったが、当たりである!

222ページ  所要時間2:30        図書館

著者38歳(1974生まれ)。内科医。副題は「“やくざ医者”の、過激ながらも大切な話」である。

多種・多量の抗精神薬を処方されて覚醒剤中毒と同様の依存状態に陥り生命の危機にすら瀕する精神科患者たちを、減薬指導し、薬物依存から救出する取り組みをしている内科医らしい。

内科医の立場から、現代の精神科医療を「患者を薬漬けにして薬物依存により搾取する詐欺行為である!」と断罪し、そもそも論として「精神科の患者のほとんどは病気ではない、精神科医療に関わることによって病気にされ、無用な薬を処方されることによって、かえって依存性の強い病人に仕立て上げられてしまう。しかも、その依存は生涯続くのだ。」として<精神科医療不要論>をぶち上げる内容である。<衝撃の告発本>とでも言うべきだろう。

この本の中では、発達障害なども、否定的に論じられている。正直、いままでの記述だけを読むと、所謂<トンデモ本>に思われるかもしれないが、実際の内容は、真に重篤な精神疾患の存在は認めた上で、多くの場合、

*そもそも精神とか心とかの問題は、人間的な問題であり、社会的な問題であって、医学の問題ではない。それを医学の問題であるかのようにすり替え、自分たちの利益へ誘導した精神医学界の策略は、奸智のひと言に尽きる。それとともに人々が根本的な問題から逃げ続け、精神科という見せかけの看板と専門家に問題を丸投げしたともとらえることができる。略。精神的問題の解決に抜け道などあろうはずがない。素人が考えてもわかるように、解決策とは、原因の除去、トラブルへの取り組みしかあり得ない。略。人々は安楽しか求めていないし、略、その結果、問題に対して正面から取り組むのではなく、ごまかしに走ろうとする。そのごまかしこそが精神科であり、精神薬である。飲めば気分はよくなるかもしれないが、それは覚醒剤を飲んで逃げているのとまったく同じことだ。だからこそ何度でも言おう。精神科は存在してはいけない。185~187ページ

などと論じ、精神科がなくても済む、問題解決の道をかなり具体的に説得力を持って論じているのだ。

ある種、誰もが腹の中では思っている本音を内科医的立場から思い切って暴き出した<正論の書>といった印象である。俺自身の中にも「よくぞ言ってくれた! これで新しい視点を一つ得られた!」という快哉を叫ぶ気分も生まれたのも事実だ。医学的真相はやはりわからないので、感想4としたが、感想5もあり得る気もしている。

目次(以下、コピペ)
はじめに
第1章 精神医学は、やりたい放題!
精神医学はなぜ生まれたか? 12/ 非科学としての精神医学 14/ その日の気分で決まった「診断基準」 15/ アメリカ精神医学界・大御所の反省 17/ 効果のない拷問治療・電気けいれん療法 19/ 安全な精神薬はあり得ない 22/ 薬が効かない実例 25/ 心理療法だから良いわけではない 29
ある患者の入院体験 31/ なぜ精神病院でこれほどの人が死ぬのか 32/ 都内不審死から続々検出される精神薬 36/ 一〇日間の医療保護入院 39/ 副作用の報告 45/ 精神医学は「やりたい放題」の世界 51
第2章 私は精神医学を「詐欺」と呼ぶワケ
あなたも絶対当てはまる!ADHDチェックリスト 54/ 人間は怒り、泣き、笑い、悲しむもの 61/「睡眠キャンペーン」の真実 63/ 否定されている「仮説」 65/ 精神科医ごとに異なる診断 68/ 一八〇度変わった「日本うつ病学界」理事長の発言 70/ ファイザー社のデッチアゲ研究 72/ 早期介入、早期支援という一大詐欺について 74/ 精神医学幻想からの脱却 76/ 「ダメでも結果は隠せる」 78
第3章 これは病気ではない
1.最も流行の精神疾患「発達障害」
流行の「発達障害」という概念を広めた、わが反省 82/ 隠れ蓑としての発達障害 84/ 「昔はADHDなんて言わなかった。子どもって言ったんだ」 86/ ADHD治療薬は、ほとんど覚醒剤 88/ 入院なんかしなきゃよかった 91/ 発達障害という撒き餌 95
2.いい加減でおかしい病名「うつ病」
脳のどこの疾患なのか? 97/ 幼児期に精神治療薬を使うと… 99/ 「うつ」のほとんどは社会ストレスが原因 101/ じつは最も多い「医療薬物性うつ病」 107
3.大々的キャンペーンの成果「うつ病」
うつでないから躁うつ病? 109/ 本物の躁うつ病とはどんなものか? 111/ 躁うつ病診断の本当の理由 113
4.万人に当てはまる「強迫性障害」
強迫観念と強迫行為 115/ 人ならだれでも強迫性障害? 118/ 抗精神病薬の問題 119/ 「手洗いを頻繁にする青年」のケース 121
5.顧客マーケットを掘り起こす「不安障害・社会不安障害」
緊張する人は社会不安障害 123/ 「病気」を作れば儲かります 125/ 依存症患者の作り方 127/ 三〇年前の警告 128
6.親の詐欺的行為?「心的外傷後ストレス症候群(PTSD)」
トラウマは人生の原動力なのに… 131/ 精神科医と親による「共同虐待」 134/ PTSDで精神科に行くと… 136
7.優秀な精神科医は治療しない「人格障害」
精神医療業界からすれば、私も人格障害 140
8.治療の先に悲惨な結果「気分変調症」
薬依存の優良顧客 143/ 精神科の感情喪失患者 145
9.やけ食いと何が違うの?「摂食障害」
食欲がないというだけで拒食症 147
10.“本物”は三〇〇〇分の一「統合失調症」
統合失調症も精神科医の主観が決める 152/ 「キャバ嬢になりたい」は精神病か 154/ だれでも支離滅裂なときがある 156/ 私が定義する統合失調症 158/ 薬で統合失調症になる原理 160/ 一〇〇人に一人という数字のマジック 162
第4章 精神科にダマされないために
良心的精神科医さえ薬を使う 166/ 精神科は存在自体が悪 168/ 「良識」と「権威」も罠である 172/ 精神科を受診する前の一〇の心得 174/ 精神科不要論 184
第5章 私の実践する「精神症状」対応策
もう一歩踏み込んだ薬以外の対処法 190/ 生きる上で大切な「痛み」 194/ 薬害にあわないためにはどうするかと薬害の対処法 196/ 薬を減らす原則 200/ 薬ごとの対応法 201/ 東洋医学(漢方や鍼灸治療)の利用について 205/ 漢方の副作用について 206/ 鍼灸治療のススメ 215/ サプリメントをどう考えるか? 216
おわりに‐まともな精神科医に出会うためには 219

※23日(金):チェックを入れた部分を読み直しながら、「やはり合理的な内容だ。けれど、逃げ場をなくした厳しい内容でもあるなあ」と思えた。

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