もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

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200523 9月入学は是か非か @火事場(泥棒)の9月入学論!反対(もみ)

2020年05月23日 12時45分31秒 | 考える資料
5月23日(土):

朝日デジタル9月入学は是か非か
元文科次官・前川喜平氏「失政隠しの『教育の政治利用』 時間とお金をかけて議論を」

2020.05.04 山下 知子

多くの学校で休校期間が2カ月に及ぼうとしている。緊急事態宣言の解除の先延ばしで、休校は一体いつまで続くのか。先が見通せないなか、「9月入学」を求める声が現役高校生らから噴き出し、その是非をめぐり賛否両論が白熱している。自身のツイッターで「9月入学については、無責任な議論が横行している」などと発信した元文部科学事務次官の前川喜平氏に、5月初め、その真意を聞いた。(写真は、9月入学をめぐり賛否が割れた4月29日の全国知事会ウェブ会議)

話を伺った人
前川喜平さん 元文部科学事務次官
(まえかわ・きへい)1955年生まれ。東京大学法学部卒業。79年、文部省(当時)入省。官房長、初等中等教育局長などを経て、2016年に文部科学事務次官に就任、17年に退官。現在は現代教育行政研究会代表。
大学と義務教育は区別して議論を
――「9月入学制」の議論が盛り上がっています。どう受け止めていますか?
いま優先するべき話ではありません。失政を隠すための「教育の政治利用」ではないでしょうか。
9月入学論は、10年に1度ぐらいの周期で出てきます。中曽根康弘内閣の時の臨時教育審議会の答申(1987年)で提言があり、中央教育審議会の答申(97年)、2000年の教育改革国民会議でも出ました。12年には東大で秋入学導入の提言が出て、大きな議論を呼びました。文部科学省はすでに何度も検討しているのです。わかったのは、国民の合意を得たうえで、時間とお金をかけないとできないということです。
――9月入学制には反対の立場ということですか?
いま議論するのは反対という立場です。白紙から考えるなら9月入学には賛成ですよ。
学年の真ん中に夏休みがあるよりは、学年末にあるほうが子どもの生活リズムの点からもメリットがあります。海外では9月入学が多く、国際スタンダードにも合わせられます。入試も、インフルエンザが流行し、雪で公共交通機関が止まる冬より、夏のほうがずっといい。会計年度とずれても難しいことはありません。
――9月入学制を考える時、どんな視点が必要なのでしょうか。お金と時間をかけて議論すべきだと先ほどおっしゃいました。
大学の9月入学制と、義務教育を含めた学校全体の9月入学制は区別して考えるべきです。高校と大学の接続部分だけだったら、今も多くの大学が秋季入学を導入しており、さらに拡大していけばいいと思います。しかし、義務教育となると話は違ってきます。影響が大きいので国民的議論が不可欠です。
学校教育法では、義務教育開始の下限年齢は「6歳0カ月」となっています。その考え方のまま9月入学にすると、初年度は6歳0カ月から7歳5カ月で構成される、いびつな学年が生まれてしまいます。小学1年生で17カ月の違いは大きすぎるので、同じ学年にくくるのは無理です。
今年の4月2日から9月1日までに6歳になる子だけで一つの学年を作る手もありますが、同年齢の子を二つの学年に分けることになるので、これもかなり無理があります。
では、どうするか。
幼稚園・保育園の段階から、1学年で1カ月ごとスライドしていく方法があります。初年度は4月2日から翌年5月1日までの子どもを入学させ、2年目は5月2日から6月1日までの子どもを入学させる。そうすると、5年たてば9月でそろいます。半月ずつ10年かけてもいい。無理なく実施するには時間をかける必要があるのです。

優先すべきは学校の再開
――休校が続く中、いま優先すべき議論は何だと考えていますか?
学校再開に力を注ぐことです。首相は2月、一斉休校要請を行いましたが、学校は「休業補償」がいらないからと安易に考えているように感じます。休校は、憲法26条の教育を受ける権利が侵害されている状況。お金に換えられない損失が発生しています。学校は閉めるのは最後、開けるのは最初であるべきなのです。
学校保健安全法は、子どもたちの健康のために「休校」を規定しています。大人のためではなく、子ども自身の生存権を守るために学習権を停止することを認めているわけです。休校は、子どもの健康が危ないときにだけ、学校ごとに行うべきものです。緊急事態宣言が延長されたら休校も延長するというのはおかしい。政府専門家会議も学校再開の必要性を認めました。
地域や学校種によって状況は違います。感染者が多い地域なのか少ない地域なのか。電車通学が多い高校なのか、近隣から徒歩で通う公立小中学校なのか。各地の教育委員会も学習権を守るとりでとして、子どもの学習権を停止していい状況なのか、もっと主体的に判断し、開けていい学校は開けるべきです。
もちろん、感染リスクを下げる工夫は必要です。時差登校や分散登校に加え、何より先生が学校に持ち込まないようにしないといけない。消毒液やマスクを用意し、PCR検査も優先的に受けられるようにしたらいいと思います。
来年は7月にも大学入試を
――受験や就職を控えた高校3年生の一部から9月入学制を求める声が出るなど、不安は切実です。
この学年の気持ちに応える必要はあります。これについては、大学の秋季入学枠を拡充するのが策の一つとして考えられます。大学全体を秋季入学にする必要はありません。4月に進学したい生徒もいます。全体を秋季入学にすると半年間、新1年生がいないことになり、収入が半年途絶えます。その補償や補塡(ほてん)となれば、何百億円か必要でしょう。
今の高校3年生のみ7月末なり8月末なり、大学が始まるまで高校生活が続けられるようにするのはどうでしょうか。高校には別科や専攻科を設置できるので、臨時に設けて在籍させます。もちろん、3月に卒業し、4月から働いたり、大学に入ったりする選択肢も残しておきます。
そして、秋入学用の大学入学共通テストを7月ごろ行います。大学入試センターにとって試験を年2回行うのは大変ですが、やってできないことはないでしょう。長い目で見れば、こうした仕組みを恒常的に構築してもいいかもしれません。


朝日デジタル(社説)9月入学論 訴えの原点を大切に
2020年5月13日 5時00分

 新型コロナウイルスの影響で、学校の始まりを5カ月遅らせる「9月入学・始業」案が浮上している。積極的に支持する知事もいて、政府は6月上旬をめどに論点を整理する考えだ。
 背景にあるのは、長引く休校による勉学の遅れ、そして経済力や学習環境の違いによる教育格差の拡大への懸念だ。オンライン授業ができている自治体は全国で5%しかなく、「どっさり宿題が出たきりで、学校からほとんど連絡がない」などの不満が各地で聞かれる。
 朝日新聞が全ての都道府県や指定市、県庁所在市など121の自治体を取材したところ、約7割が今月末まで休校を続けると答えた。休校期間は実に3カ月に及ぶ。夏休みを短くして授業時間を確保することを考えているところが多いが、子どもたちが消化不良を起こさないか。教職員の過労も心配だ。
 9月入学にすればこうした問題の解消が期待できるとはいえ、ハードルは高い。たとえば一時的に17カ月分の児童生徒を受け入れる学年が生まれることになるが、その数に見合う教室や教員を確保するのは難しい。加えて「留学しやすくなるのでこの際9月入学に」といった、いわば便乗論への反発も持ち上がり、議論は錯綜(さくそう)している。
 思い起こすべきは、9月入学論が注目される直接の契機になった高校生たちの声だ。授業や友人と過ごす日がどんどん減っていくことに対する痛切な思いが込められたもので、だからこそ多くの人が共鳴した。
 この訴えの原点に立ち返り、授業や学校生活の時間をどうやって取り戻すかという視点から善後策を考えるべきだ。
 9月入学への大変革か、現行制度の維持かの二者択一ではないはずだ。まずは、指導要領によって定められている学習内容を削減できないか、文部科学省が検討する。それにも限界があるというなら、来春の始業時期を遅らせて今年度分の授業時間を確保し、2年間かけて影響を解消する。それくらいの柔軟な対応を考えてはどうか。
 どの子も困惑の中にいるが、とりわけ受験学年の不安は大きい。入試の実施時期などの基本方針を早急に示す必要がある。
 事態の長期化も考え、並行してオンライン学習の環境整備も急ぎたい。在宅勤務の広がりなどからIT関連機器が品薄になっており、準備が思うように進んでいない。必要な機材が子どもたちに速やかに行き渡るよう、政府はメーカーや自治体に働きかけてほしい。
 教育の機会均等は憲法に基づく国の責務だ。非常時でも、いや非常時だからこそ、不公平を放置することは許されない。


朝日デジタル(社説)学びの再建 受験学年への対応早く
2020年5月20日 5時00分

 コロナ禍による授業の遅れをどうやって取り戻すか。文部科学省が先週、基本的な考え方を全国の自治体に示した。
 積み残した学習内容を次年度以降に繰り越してもよい旨を明記した。年度内の完了が原則としつつも、柔軟な運用に道を開く内容だ。かねて社説で主張してきたこととも重なる。
 大半の自治体が夏休みの短縮を考え、なかには2週間程度にまで削る予定のところもある。真夏の教室で感染症と熱中症の双方に備えるのは容易ではないし、児童生徒や教職員の疲労も気がかりだ。今回の通知の趣旨を踏まえ、無理のない授業日程を組んでもらいたい。
 土曜授業や7時間授業を検討している自治体もある。やむを得ない場合もあろうが、過度な詰め込みは子どもたちの理解の深まりを害する。所定のコマ数を消化することを目的とするような編成は避けるべきだ。
 今回の措置でも残る大きな問題がある。「繰り越し」の利かない最終学年への対応だ。通知は、分散登校を行う場合には他学年より手厚くするよう求めるが、それにも限界がある。
 入試も立ちはだかる。文科省は高校入試について、▽地元の中学の授業進度をふまえて出題範囲を定める▽生徒が解答する問題を選べる出題形式を採り入れる、などの工夫を例示している。大学入試にも何らかの指針が必要ではないか。
 実施時期はどうか。窓を開けられない冬に密閉・密集を避けて長時間の試験を行うのは難しく、感染の第2、第3の波の到来もありうる。会場が用意できるかを早急に調べ、春先にずらすことも検討すべきだ。それは授業時間の確保にもつながる。
 大学の推薦入試などについては、萩生田光一文科相が選考を遅らせる必要性に言及した。そうでなくても現高3生は入試改革の迷走に振り回され、大きな負担を強いられた。一般入試を含む全体方針を速やかに示し、落ち着いて準備できる環境を整えるのが大人の責務だ。
 先週の文科省通知には、もうひとつ大きな特徴がある。
 授業は実習や協働学習に重きをおき、個人でできるものは家庭学習に回すとの考えを打ち出したことだ。時間数が限られるなか、内容の取捨選択が必要なのはわかる。だが、自学自習できるかどうかは家庭環境に大きく左右される。コロナ禍は経済の低迷をもたらし、多くの保護者は余裕を失っている。
 退職した教員や教育NPOの力を借り、インフラ整備を急いでオンライン学習も活用する。厳しい境遇にいる子を中心に、「学びの保障」を確実に実現しなければならない。

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